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2011 年度 実施状況報告書

過栄養性脂肪肝の病態生理学的メカニズムの解明と活性酸素によるDNA障害の関与

研究課題

研究課題/領域番号 23500846
研究機関大分大学

研究代表者

加隈 哲也  大分大学, 医学部, 講師 (80343359)

研究分担者 吉松 博信  大分大学, 医学部, 教授 (00166993)
清家 正隆  大分大学, 医学部, 助教 (40253794)
正木 孝幸  大分大学, 医学部, 助教 (00423715)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード過栄養性脂肪肝 / 脾臓摘出 / 8オキソグアニン / チアゾリジン誘導体 / 肥満 / PPARγ
研究概要

肥満症の中心的病態である過栄養性脂肪肝の発症・進展における病態生理学的メカニズムを検討した。1、炎症性サイトカインのマスターレギュレーターであり、解剖学的に肝臓と密接に関わっている脾臓を摘出したラットにおいて、過栄養性脂肪肝から脂肪性肝炎にいたる過程を観察した。元来、高脂肪食負荷ラットにおいて血清中性脂肪値ならびに肝臓内中性脂肪値は上昇しているが、脾臓を摘出すると、それらはさらに増加した。肝臓において、炎症誘発性性サイトカインであるTNFα、IL-1β、MCP1の発現が亢進していた。また酸化ストレスマーカーである8-oxoGや4-HNEが有意に上昇していた。一方で、脾臓摘出1ヶ月では肝臓のsteatosisは有意に悪化しているが、6ヶ月ともなると炎症性変化がより強くなり、肝臓の線維化が観察された。以上より、脾臓摘出は肝臓における炎症性サイトカインの発現亢進、酸化ストレスの増加を介して、過栄養性脂肪肝から脂肪性肝炎への進展を助長することが判明した。2、チアゾリジン誘導体(TZD)を遺伝性肥満糖尿病モデルKKAyマウスに経口投与すると脂肪肝が悪化する。TZDはインスリン抵抗性改善作用、抗酸化作用を有しているにも関らず、脂肪肝が悪化してしまうメカニズムを検討した。TZDは脂肪合成に必須な転写因子PPARγのリガンドであり、その発現は通常脂肪組織に限局し、肝臓での発現は極めて低い。KKAyマウスでは肝臓内PPARγの発現が異所性に高発現しており、TZDの経口投与では肝臓内PPARγを介した内因性脂肪合成の亢進の結果、脂肪肝が悪化することが確認された。一方でTZDの腹腔内投与では内臓脂肪から皮下脂肪への脂肪分布の変化とともにアディポネクチンの上昇を認め、脂肪肝は改善した。TZDによる脂肪肝の悪化改善には脂肪組織と肝臓でのPPARγの発現量と作用のバランスが規定していることが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

肥満症の中心的病態である過栄養性脂肪肝の発症・進展における病態生理学的メカニズムの検討は進んでいる。しかし、平成24年度に予定していた脂肪肝改善作用を有する薬剤投与の実験を先に実施してしまったため、平成23年度予定の実験がやや遅れている。種々のモデルにおける酸化ストレスマーカー:8オキソグアニンの定量に際し、定量性の不安定性があったため、酸化ストレスマーカーを4-HNEとして測定したことも遅れの原因かもしれない。

今後の研究の推進方策

8オキソグアニンの定量条件の早期安定をはかり、その修復酵素系の発現機構自体の研究を進める。繰り越しの研究費が生じた理由は、他の研究費を先に使用したためである。

次年度の研究費の使用計画

酸化ストレスによるDNA障害と肥満症関連病態との関係について検討を進める。TNFα過剰発現マウスが手に入ったので、このマウスを用いた研究も検討している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Involvement of remnant spleen volume on the progression of steatohepatitis in diet-induced obese rats after a splenectomy.2012

    • 著者名/発表者名
      Inoue M, Gotoh K, Seike M, Masaki T, Oribe J, Honda K, Kakuma T, Yoshimatsu H.
    • 雑誌名

      Hepatol Res.

      巻: 42 ページ: 203-212

    • DOI

      10.1111/j.1872-034X.2011.00914.x. Epub 2011 Dec 5.

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2013-07-10  

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