研究課題/領域番号 |
23500846
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
加隈 哲也 大分大学, 医学部, 講師 (80343359)
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研究分担者 |
吉松 博信 大分大学, 医学部, 教授 (00166993)
清家 正隆 大分大学, 医学部, 助教 (40253794)
正木 孝幸 大分大学, 医学部, 助教 (00423715)
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キーワード | 過栄養性脂肪肝 / 脾臓摘出 / 炎症性サイトカイン / IL-10 / IL-10欠損マウス / 肥満 |
研究概要 |
過栄養性脂肪肝の発症・進展における病態生理学的メカニズムと炎症性サイトカインについて検討した。我々は昨年までに、脾臓摘出は肝臓における炎症性サイトカインの発現亢進、酸化ストレスの増加を介して、過栄養性脂肪肝から脂肪性肝炎への進展を助長することを報告した。高脂肪食負荷ラットにおいて血清ALT値、中性脂肪値ならびに肝臓内中性脂肪値は上昇しており、炎症誘発性サイトカインであるTNFα、IL-1β、MCP1の発現ならびに炎症抑制性サイトカインIL-10の発現も亢進している。ここで重要なことは、肝臓におけるIL-10(炎症抑制)/TNFα(炎症誘発)の比としては低下していることである。つまり、高脂肪食負荷は炎症を惹起することを示している。脾臓を摘出すると、これらのマーカーはすべて悪化するが、そこにIL-10を投与すると、これらの悪化はすべて解消することを見出した。また脾臓摘出により悪化した糖脂質代謝は、IL-10の補充により改善した。さらにIL-10欠損マウスの脾臓を摘出しても、上記の現象は認めなかった。以上より、脾臓摘出により肝臓における炎症性サイトカインの発現亢進、酸化ストレスの増加を介して、過栄養性脂肪肝から脂肪性肝炎への進展を助長するが、それらは脾臓由来のIL-10の低下により引き起こされていることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
肥満症の中心的病態である過栄養性脂肪肝の発症・進展における病態生理学的メカニズムの検討は進んでいる。しかし、平成24年度に実施した高脂肪食負荷マウスの脾臓摘出モデルにおける検討に没頭してしまったため、全体的に予定の実験がやや遅れている。またGTG処理による肥満モデルマウスが、なかなか安定して完成しないことも遅れの原因となっている。薬物の量をさらに調節していくことが必要である。
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今後の研究の推進方策 |
文献にそったGTG投与量で実施したが、1/3程度のマウスが死亡した。今後はGTG投与量を何段階かに分けて投与し、GTG投与量の設定を早急に行い、GTG処理による肥満モデルマウスの安定した供給を試みる。8オキソグアニンの定量にあたり、環境や条件設定の問題なのか、結果が不安定であった。8オキソグアニンの定量条件の設定と早期安定化をはかり、続いてその修復酵素系遺伝子発現の研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
酸化ストレスによるDNA障害と肥満症関連病態との関係について検討を進める。TNFα過剰発現マウスが手に入ったので、このマウスを用いた研究も検討している。 繰り越しの研究費が生じた理由は、物品の購入を25年度に延期したためである。
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