研究課題/領域番号 |
23500848
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
吉川 貴仁 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10381998)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 食欲 / 運動 / 脳神経活動 |
研究概要 |
本研究では、運動の食欲・食行動に対する影響を脳科学・内分泌学を含めて包括的に理解することにより、生活習慣病や肥満者に対する新たな運動・食事指導の作成を目指すものである。本年度はまず、食欲・食行動に関する脳神経機能にどのような変化を生じるか(食行動破綻の機序)の解明のために、とくに食行為への最終的な段階である<食意欲>に注目しヒトを対象とした研究を実施した。(1)各個人の普段の食生活の中での<食意欲>を調べるための質問紙の確立若年日本人成人173名を対象に、既存の英語版の食意欲に関する質問紙を日本語版にしてその再現性・妥当性を検証した。その結果、良好な再現性(Cronbach’s α=0.87)が得られた他、英語版の質問紙と同様に食意欲をa)食べ物がまだ目の前に来る前でも湧く意欲、b)食べ物が目の前に出てきたときの意欲、c)食べ物を口に入れてさらに食べたくなる意欲といった3つの因子が抽出でき、またBody Mass Indexや性別との関係もオリジナルと同様の結果を得、日本語版の質問紙の妥当性も確認できた(海外雑誌投稿中)。(2)空腹時や腹八分時に食意欲を湧かせた時の脳神経活動の解析若年成人被験者を対象に、12時間空腹条件(8名)および被験者の主観に基づいた腹八分条件(11名)で、食物の写真を提示した際の脳神経活動を脳磁図で解析した。脳磁図は従来の脳機能イメージングでは捉えきれない瞬時の(食物を見た瞬間の) 1秒未満に生ずる脳神経活動を観察するのに適している。また、そのような活動と質問紙で見た各人の3つの食の意欲度(上記a~c)との関連を調べた。その結果、空腹時、腹八分時ともに食に関する感覚を総合的に集約する中枢の一つである島皮質で活動が300ミリ秒前後で観察された。その活動の強さは、質問紙のa)b)c)の意欲の強さやBMIと正相関した(海外雑誌投稿中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた心理質問紙の作成と再現性・妥当性の検証、および脳機能イメージング手法(主に脳磁図)を用いた食意欲に関する脳活動の研究も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、運動がヒトにおける食・脳連関に与える影響(実験的運動)(動いて食べる)に関して、単回・複数回の運動により本年度に観察されたような脳神経活動がどのように変化するかを検討する。具体的には、我々が以前消化管ホルモンと運動の関係を報告したプロトコールに則り、30分~1時間の有酸素運動(エルゴメータ)ないしは種々のレジスタンス運動を行った前後に、食欲や空腹感、食事摂取量の評価とともに、脳磁図(食品提示のときの反応)の運動前後の変化を観察する。さらに可能であれば消化管ホルモンも測定して下位と高位の脳の関係も調べる予定である。この実験を、年齢層(若年大学生や中高年の協力者)や体脂肪別に検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
運動負荷試験や各種消化管ホルモンの測定、脳磁図の解析に必要なコンピューターソフトの購入などにかかる費用や、被験者への謝金に使用する予定である。
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