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2012 年度 実施状況報告書

種々の脂質摂取が大動脈機能に及ぼす効果についての検討

研究課題

研究課題/領域番号 23500851
研究機関城西大学

研究代表者

加園 恵三  城西大学, 薬学部, 教授 (90177387)

研究分担者 竹之内 康広  城西大学, 薬学部, 助手 (30582233)
角田 伸代  独立行政法人国立長寿医療研究センター, その他部局等, その他 (60337483)
野部 浩司  城西大学, 薬学部, 准教授 (30276612)
キーワード糖尿病合併症 / 血管内皮細胞 / n-3系多価不飽和脂肪酸 / 一酸化窒素 / EPA / DHA / パルミトオレイン酸
研究概要

本研究では、n-3系多価不飽和脂肪酸(EPA、DHA)、1価不飽和脂肪酸(パルミトオレイン酸)が血管内皮細胞のNO産生や血管の弛緩反応に及ぼす効果とその機序について、2型糖尿病・肥満モデルマウス(KK-Ay)を用いて、ex vivoおよびin vitroで検討する。
7 週齢の雄性KK-Ayマウスに飼料(AIN-93G)を 8 週間与え、その後、一部に、EPA (200mg/day/匹)を 4 週間経口投与した。同週齢の C57Bl/6J 雄性マウスまたはAIN-93G のみを飼料としたKK-Ayマウスを対照とし、以下の結果を得た。1) KK-Ayマウスは、C57Bl/6Jマウスに比べ、空腹時血糖・インスリン値が上昇したが、EPA 投与により減少傾向が見られた。2) KKAy マウスから摘出した胸部大動脈は、C57Bl/6J マウスに比べて、nitroprusside sodium(NO ドナー)による内皮非依存性弛緩反応は変化しなかったが、acetylcholine 及び clonidine による内皮依存性弛緩反応が減弱した。EPA 投与により内皮依存性弛緩反応に改善傾向が見られた。3) 摘出胸部大動脈に EPAを累積投与したところ、弛緩反応が見ら、NO 合成酵素阻害薬(L-NNA)の前処置で、弛緩反応が減弱した。
以上より、KKAy マウスでは血管内皮細胞のNO の産生低下やバイオアベイラビリティーの低下があり、EPA投与 により内皮機能障害が改善する事が示唆された。機序として、EPA 投与によるインスリン値、血糖値減少→インスリン抵抗性改善→血管内皮機能障害軽減、が示唆された。また、EPAによる弛緩反応は、L-NNA で完全には消失せず、EPA の代謝物であるPGI3、PGI2なども関与する可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1)例数は少ない (n=3) ものの、糖尿病モデルマウスでの血管障害および EPA 負荷による改善効果の傾向が認められた。
2)1)で得られた知見は、近年報告されている通りの EPA による血管保護作用と考えられるが、そのメカニズムについては十分に解明されていないため、重要な研究課題である。
3) EPA での血管保護作用の一つとして、ex vivo の実験で得られた EPA による摘出胸部大動脈への直接的な弛緩反応が示唆された。

今後の研究の推進方策

1)本年度 EPA の血管保護作用の傾向が認められたため、例数を増やし検討を行う。
2)EPA、DHAまたはパルミトオレイン酸含有の餌で糖尿病モデルマウスを飼育し、その後胸部大動脈の機能をex vivoで解析する。
3)今年度得た知見を基に、血中成分(血糖値、インスリン値)以外にも EPA により変化する因子を発見し、血管保護作用の保護作用を解明する。
4)不飽和脂肪酸による弛緩反応のメカニズムについての検討を行う。

次年度の研究費の使用計画

1)今後、実験回数やマウスのn数が増加すると予想されるため、マグヌス管による解析装置をさらに充実させる予定である。
2)マウスおよび餌の購入、飼育費。KKAyマウスなど病態モデルマウスは高価であるが、一部の実験で用いる予定である。また、食餌に混ぜる脂肪酸も前年度よりやや多く使用する。
3)種々の試薬類およびアッセイキット類。
4)消耗品類。

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公開日: 2014-07-24  

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