研究課題/領域番号 |
23500852
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
北川 淳 北里大学, 一般教育部, 准教授 (80260529)
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研究分担者 |
伊木 雅之 近畿大学, 医学部, 教授 (50184388)
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キーワード | 女性高齢者 / 歩行数 / 骨密度 / 骨粗鬆症予防 |
研究概要 |
国民栄養調査や健康日本21では「歩行数」が身体活動指標として用いられており,歩行数が「健康」に及ぼす効果が注目されている。 本研究では,「骨粗鬆症予防のための成人疫学調査」:The Japan Population-based Osteoporosis (JPOS) Studyの15年次調査において,閉経後女性を対象として,日常歩行数と「大腿骨頸部」や「腰椎」の骨密度(DXA法)との間に関連性が認められるか否かについて検討を進めている。 平成23年度に15年次調査として,香川県さぬき市,北海道芽室町,新潟県上越市,福島県西会津町の4地域において,50~89歳の女性(合計約1000名)を対象とする調査を予定していた。しかし,同年に発生した東日本大震災のため,福島県西会津町の調査は平成24年度に延期した(他の3地域では実施済み)。平成24年10月に西会津町での調査を終えることができたため,予定していた15年次調査の全てのデータを取得することができた。 本研究における主な測定項目は,①活動量計(EW-NK50,Panasonic,3軸加速度センサー内蔵)による歩行数,②DXA法(QDR4500A車載型,Hologic社)による大腿骨頸部骨密度,腰椎骨密度および四肢骨格筋量,③運動機能(握力,最大歩行速度,Timed Up & Go Test など)である。 現在は予備解析として,歩行数以外の主な測定項目の加齢変化について分析を終えた(歩行数は生データの集計中である)。その結果,大腿骨頸部と腰椎骨密度は加齢に伴う減少を示したのに対し,骨格筋量は明確な加齢変化を示さなかった。さらに各運動機能は,骨密度と同等かそれ以上に強力な加齢変化を示した。今後は歩行数が大腿骨頸部と腰椎の骨密度に及ぼす影響について検討を加える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度には福島県西会津町における調査を終えることができたため,当初予定していた国内4地域での調査が終了した。1地域での現地調査は2週間にわたる期間を要し,事前準備も含めてこれまでに多大な労力を費やしたが,今後は得られたデータをコンピュータ上にて解析する作業が中心となるため,順調に進むと思われる。 なお,対象者への測定結果に対するフィードバックも郵送にて問題なく行うことができたとともに,研究倫理上の問題も何ら発生しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
「9.研究実績の概要」欄に示した研究成果の一部は,本年度,第14回日本骨粗鬆症学会(新潟市)において発表済みであると共に,翌年度(平成25年10月)に開催される第28回日本整形外科学会基礎学術集会(幕張)において発表する。 また,これまでに予備解析として,さぬき市における測定データをもとに,日常歩行数が大腿骨頸部骨密度に好影響を与えることを国際学会において発表している。今後は大規模サンプルにおいて同様の分析を行う。日常歩行数の効果が認められた場合には,具体的にどれ位の歩行数を保つことが骨密度維持に貢献するのか提案したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用研究費として89,805円の残金があるが,これは,福島県西会津町での対象者数が,当初予定よりも25名減少したため,これらの人数分の活動量計代金の余剰金である。 翌年度には100,000円が交付されるため,合算した約190,000円を研究成果発表や出版に使用したいと考えている。
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