研究課題
国民栄養調査や健康日本21では歩行数が身体活動指標として用いられており,歩行数が健康に及ぼす効果が注目されている。本研究では,「骨粗鬆症予防のための成人疫学調査」:The Japan Population-based Osteoporosis (JPOS) Studyの15年次調査において,閉経後女性を対象として,日常歩行数と「大腿骨頸部」や「腰椎」骨密度(DXA法)との間に関連性があるか否かについて検討を進めてきた。平成23・24年度に,香川県さぬき市,北海道芽室町,新潟県上越市,福島県西会津町の4地域において,30~89歳の女性1316名が受診した。主な測定項目は,①活動量計(EW-NK50,Panasonic,3軸加速度センサー内蔵)による歩行数およびEx(メッツ×時間),②DXA法(QDR4500A車載型,Hologic社)による大腿骨頸部および腰椎骨密度,③運動機能(握力,最大歩行速度,Timed Up & Go Test など)である。平成25(最終)年度には,データ精査および除外基準の確定,統計解析を中心に行った。閉経後10年以上経過し,除外基準に該当せず,かつ全ての測定を終えた者は340名であった。重回帰分析を用いて交絡因子(閉経後年数,体重など)を調整した上で,歩行数およびExが両部位骨密度に対する予測因子となりうるか検討した。その結果,歩行数は両部位骨密度に対する予測因子として選択されなかったが,Exは大腿骨頸部骨密度に対する正の予測因子として選択された。歩行数は歩行の「量」を反映するが,「強度」は反映しない。一方,Exは活動時の3軸加速度をメッツに変換することによって求めるため「強度」を反映する。したがって骨粗鬆症に伴う骨折好発部位である大腿骨頸部骨密度を維持する上では,単に歩行数を増加させるよりも,強度を伴う活動を行うことが重要と思われた。
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International Journal of Epidemiology
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