研究実績の概要 |
メタボリックシンドローム(MetS)や動脈硬化症が増加の一途をたどる中、生活習慣の改善による一次予防や二次予防の重要性がいわれている。本研究では、人間ドック受診者を対象に臍高部CTで計測した内臓脂肪面積(VFA), 皮下脂肪面積(SFA)やHOMA-R, HOMA-βとMetS, 糖尿病(DM), 高血圧(HT)などとの関係を検討した。 1.正常血糖からDM治療中の4群で、VFAの平均±SDは101±44, 117±43, 133±54, 124±54(cm2)で有意差を認めた(F= 31.6, P<0.0001)。2.正常血圧からHT治療中の4群でも、VFAは95±42, 109±43, 118±46, 128±49(cm2)と強い有意差を認め、HOMA-Rの中央値(Q1-Q3)は4群でそれぞれ1.2 (0.8-1.8), 1.4 (1.0-1.9), 1.5 (1.0-2.1), 1.6 (1.1-2.7)と有意差を認めた(どちらもP<0.0001)。3.DMの有無を目的変数とした多重ロジスティック回帰分析(MLR)では、HOMA-β低値, HOMA-R高値, 年齢, VFA, 現在の喫煙が採択された。4.HTの有無を目的変数としたMLRでは、年齢, VFA, BMI, 1日平均1合以上の飲酒, HOMA-Rが採択された。以上より、人間ドックを受診した45~74歳の男性において VFAやHOMA-Rは耐糖能やMetSだけでなくHTとも関連しており、病態の予防や治療・管理に際して大変重要な指標であることが示唆された。 また、KCNJ15内のSNPであるrs3746876は日本人集団においても2型糖尿病と有意に関連しており(P= 0.028; OR 0.82)、この関連はBMI≧25の肥満2型糖尿病症例でより強く認められた(P= 0.0025, OR 0.62)。
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