研究課題/領域番号 |
23500862
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
大石 修司 東京医科大学, 医学部, 教授 (00322462)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 慢性閉塞性肺疾患 / 運動療法 / 酸化ストレス / 過酸化脂質 / 酸化DNA |
研究概要 |
【目的・方法】本研究は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)における包括的呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)の効果・意義を従来の運動生理学的な解析に、酸化ストレスおよび窒素化ストレスに関連する生体バイオマーカーの解析を加えることにより、全身性炎症性疾患としてのCOPDへの呼吸リハの効果・意義を明らかにすることを目的としている。本年度の対象は、安定期COPD患者で、これまでに呼吸リハ・プログラムに参加した8名の男性で、平均年齢は65.9歳であった。リハ前およびリハ後(10~12週後)に、呼吸機能検査、6分間歩行試験(6MWD)および2種類の酸化ストレス・マーカー(1. 過酸化脂質(TBARS)および2. 酸化DNA (8-OH-deoxyGuanosine, 8-OH-dG))を測定・評価した。運動療法は、リラクゼーション、ストレッチ、呼吸法、歩行訓練、上肢・下肢の筋力トレーニングなどからなる。【結果・考察】呼吸機能検査では、肺活量、努力肺活量、1秒量、%予測1秒量などのパラメーターに有意な変化は見られなかった。一方、6MWDは、(リハ前)254.9mから(リハ後)304.1mと平均で約50m伸び、有意に歩行距離が伸びた。さらに、血清TBARSは、(リハ前)5.12nmol/mlから(リハ後)4.13nmol/mlと有意に低下した。また、同時に測定した尿中8-OH-dG(対Crea比)は、リハ前後でそれぞれ14.8と16.8であり、有意な変化は見られなかった。COPD患者への呼吸リハは、呼吸機能の改善なしに運動耐容能を改善するとともに酸化ストレスを軽減することが示唆された。しかしながら、酸化ストレスの標的となる生体内分子あるいは測定試料の相違によって、運動に対する動態が異なる可能性が推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
包括的呼吸リハビリテーションを導入し、その評価をするにあたっては一人の患者さまに平均6か月くらい掛かります。今回は、昨年の震災の影響で、導入された患者数がまだ少ないため、解析結果が信頼のあるデータとなるように今後症例数を十分に増やす必要があります。
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今後の研究の推進方策 |
今後も包括的呼吸リハビリテーションを積極的に推進し、リハビリテーションの効果を次年度も今年度同様に酸化ストレスの面から追及するとともに、次年度は窒素化ストレスの面からも追及するべく、準備を進めている。これら、酸化ストレスおよび窒素化ストレスを明らかにすることにより、関連する炎症性物質(サイトカインなど)や抗炎症性物質を予測し、探索する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
COPD安定期および包括的呼吸リハビリテーション導入前後の酸化ストレス・マーカー(過酸化脂質、酸化DNA)、窒素化ストレス・マーカー(ニトロ化チロシン)および抗酸化酵素・物質(superoxide dismutase (SOD), glutathione peroxidase (GPX), catalase (CAT)、グルタチオンなど)をELISA法等を用いて測定する。抗酸化能の指標として、金属イオンの還元能力を指標とした抗酸化能を検討する予定である。また、COPDに関連性があると思われるサイトカイン(TNF-α、IL-6, IL-8など)のうち、上記の解析結果からより関連性があると思われるものを測定する予定である。
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