研究課題/領域番号 |
23500863
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研究機関 | 星薬科大学 |
研究代表者 |
竹ノ谷 文子 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (30234412)
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研究分担者 |
塩田 清二 昭和大学, 医学部, 教授 (80102375)
影山 晴秋 桐生大学, 医療保健学部, 准教授 (00433839)
鈴木 勉 星薬科大学, 薬学部, 教授 (90130757)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交流 |
研究概要 |
抗肥満ペプチドであるニューロペプチドW(NPW)やガラニン様ペプチド(GALP)はエネルギー代謝亢進や体重減少作用があり、生活習慣病予防に有効活用が期待される。ところが、その抗肥満作用については、脳室内投与や静脈投与の実験によるものでヒトへの応用は難しい。しかし、抗肥満ペプチドを利用し、運動療法と併用して活用できれば、より効果的なメタボリック改善の成果が得られると考える。そこで、我々は、抗肥満ペプチドをヒトに応用するため、動物を用い、非侵襲的で、かつ簡易的なNPW点鼻投与法を研究し、ヒトへの応用に向けた基盤研究を行い効率的で効果のある肥満解消法の確立を目指す。まず本年度は「NPWの抗肥満作用を中枢および末梢より明らかにする」ことを目的とし、以下の実験研究を行い、次の成果を得た。 (1)マウスにNPWの脳室内投与法を行い、抗肥満作用を検討したところ、投与後2時間までの摂食増加がみられるものの、24時間後では、摂食、飲水、体重の減少が確認された。また点鼻投与においても同様の傾向がみられた。これらの結果からNPWの抗肥満作用が明らかになった。 (2) NPW投与による脳内のニューロンネットワークを解析したところ、NPWは摂食促進作用をもつNPYニューロンと摂食抑制作用をもつPOMCニューロンと神経相関を持つ他に、CRHニューロンとも神経相関をもつことが確認されNPWニューロンは脳内において密なニューロンネットワークを構築していることが明らかになった。 (3) NPW投与によるエネルギー代謝亢進作用を確認したところ、体温、酸素消費量の増加傾向が確認され、現在、その作用機序の詳細を検討中である。 (4) NPW投与による末梢臓器の糖の取り込み部位については現在進行中である。以上の研究成果(1~3)については学会やシンポジウム、また総説などで発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は「NPWの抗肥満作用を中枢および末梢より明らかにする」ことをめざし、以下の4つの計画を立てけ、実験を行った。(1)~(4)までのそれぞれの実験結果と評価を行う。(1) NPW投与における摂食および体重抑制作用を明らかにする:ラット脳室内投与によりNPWの抗肥満作用が確実に確認されたことから、(1) については計画通りであり、おおむね順調であったと評価する。(2) NPW投与による脳内のニューロンネットワークを解析する:NPWニューロンとその他の摂食調節ニューロン(NPY, POMC, CRH)との神経相関が明らかになった。また脳室内投与におけるc-fosの発現部位を確認できたことから、(2)については、当初の計画よりも進行したと評価する。(3) NPW投与によるエネルギー代謝亢進作用を明らかにする:NPW投与での体温、酸素消費量の上昇傾向がみられたものの、作用機序については不明な点もあり、現在、再度測定中でありることから、(3)についてはやや遅れていると評価する。(4) NPW投与による末梢臓器の糖の取り込み部位について明らかにする:現在進行中の為、糖の取り込み部位が明らかにされていないことから(4)については遅れていると評価する。これらの(1,2)実験結果から、NPWの抗肥満作用の中枢における作用はおおむね解析が進んでいるが、末梢については 傾向はでているものの、(3,4)の実験がまだ不十分で追実験の必要性があると思われる。これらの結果から今年度の全体達成度は「やや遅れている」と自己評価する。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、「NPW点鼻投与による抗肥満効果の作用機序を明らかにする」ことを目的とし、以下の4つの実験を中心に行う予定である。 (1) NPW点鼻投与における脳内のc-Fos発現部位を明らかにする(竹ノ谷、実験協力者:木村):前年度行った、NPW脳室内投与のc-Fos発現部位と比較してみる。 (2) NPWの新規DDS開発に向けて、血液脳関門(BBB)の透過性を調べる (竹ノ谷、影山、研究協力者;野中、William A. Banks):研究協力者に実験協力を依頼しており、今後、積極的にミーティング等や情報交換を行う予定である。 (3) NPW点鼻投与における脳内の移行経路を明らかにする(竹ノ谷、塩田):これまで、GALPの脳内移行経路を明らかにしており、α-cyclodextrinを添加させるなどの工夫を行い、良好な成績をえているので、その手法を応用する予定である(Nonaka, Shioda et al, J Pharmacol Exp Ther. 2008)。 (4)その他:さらに前年、まだ明らかになっていない、「NPW投与による末梢臓器の糖の取り込み部位解明」の為に、上記の実験と平行して実験のつづきを行う。昨年、研究が遅れている項目については、新規採用されたポスドクやテクニシャンの協力を得て、研究計画が遅れないよう遂行されるように勤める。 また、週1回のミーティング(水曜17時より)を行い、実験計画が遅れないように勤める。さらに得られた成果は国内外の学会やシンポジウムで積極的に発表する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の研究は「NPW点鼻投与による抗肥満効果の作用機序を明らかにする」ことを目的にし、マウス鼻投与を行ってからの解析が主となる。そのため、本年度の研究費の消耗費関係は、まず動物購入費と、動物の管理をするための動物維持費は必要となる。とさらにNPW点鼻投与実験を行うための、抗体、試薬等、さらに実験機具等の購入が中心となる予定である。 さらに、海外旅費については、毎年、研究発表継続している北米神経科学会やヨーロッパスポーツ科学会議で研究発表を行う予定であり(参加登録および抄録提出済み)、国内においても、日本体力医学会、日本解剖学会、日本肥満学会などで研究成果を積極的に発表する予定である。 また、その他の経費として、現在投稿中であるNPWの総説の別刷りや研究論文を発表するための投稿料、印刷費等も必要となると考える。 謝金等については現時点では使用の予定はない。このため、今年度の研究費全体の使用割合は消耗費と旅費が主となる予定である。
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