研究課題
我々は、抗肥満ペプチド(ニューロペプチドW(NPW)、ガラニン様ペプチド(GALP) )を用いて、点鼻投与と運動を併用し、摂食抑制や体重減少、さらにはエネルギー代謝亢進による肥満解消を試みている。我々は、過去2年間でNPWの摂食抑制作用の機序の一つにCRHニューロンを介した系の存在を生理的実験および形態学的解析らかにしてきた。本年度は、NPWのCRHニューロンを介した抗肥満作用の作用機序の解析を行った。その結果、RT-PCR解析でNPWを添加すると、GPR7がダウンレギュレートし、一方ではCRHのmRNA量が増加していることを確認した。ささらにCRHを発現する細胞株のN44細胞を用い、CellKey systemによるシグナル伝達の解析を行った結果、細胞の誘電性分光レスポンスのパターンがGi系で活性化していることが分かった。さらにGi、Gs、Gqの阻害剤を前処理しててNPWを添加したところ、Gi系阻害剤PTXによってCDSレスポンスの変化が濃度依存的に阻害されたことから、NPWによるシグナル伝達にはGi系が関与していることが推測された。さらにNPW投与後に自発運動を行うとNPWの摂食抑制作用は見られなくなることが明らかになった。抗肥満ペプチドと運動の併用で抗肥満を狙うには抗肥満ペプチドの種類の検討も必要であることが示唆された。さらに、マウスのGALP投与による酸素消費量、発熱量及び呼吸商を調べたところ、非運動群では、GALP投与直後に脂質代謝が亢進し、暗期中では糖代謝が亢進した。自発運動群は、GALP投与により、運動量に対応せず酸素消費量及び発熱量が上昇して体重が減少した。さらに運動群は、GALP投与で肝臓、骨格筋の代謝関連酵素のPEPCK及びSREBP-1のmRNA発現量の減少を認めた。この結果、GALP投与による糖新生の抑制及び脂肪酸合成の抑制の関与が示唆された。
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