研究課題
糖尿病腎症の発症・進展におけるLDL受容体類似モザイク蛋白LR11の関連を検討するため、糖尿病腎症を発症する自然発症2型糖尿病モデルマウスKK-Ayを用いて各種臓器におけるLR11発現を継時的に検討した。LR11 mRNAレベルでは、高血糖を呈し始める8週齢ならびに16週齢KK-Ayマウスの心臓、肝臓における発現が対照マウスに比べ有意に亢進した。LR11蛋白質レベルでは、尿中アルブミン濃度が上昇し腎糸球体硬化像が認められる16週齢KK-Ayマウスの心臓、肝臓、腎臓においてLR11発現が対照マウスに比べ増加していた。現在、臓器におけるLR11発現上昇の機序に関する検討、ならびに腎臓におけるLR11蛋白質の発現部位の同定に関する検討を進めている。また、LR11ノックアウトマウスを用いた糖尿病腎症の発症・進展に関する予備検討を開始した。 一方、ヒト糖尿病腎症患者を対象としたLR11との関連についての検討も行った。これまでに対照健常人36人、合併症を併発していない2型糖尿病患者29人、網膜症を有する糖尿病腎症患者36人(病期2期18人、病期3期以降18人)を対象として血中LR11濃度を解析した結果、2型糖尿病患者群、ならびに糖尿病腎症患者群において血中LR11濃度が上昇する傾向を認め、特に腎症病期3期群では対照健常人群に比べ血中LR11濃度が有意に上昇した。現在、解析対象者をさらに追加して糖尿病腎症の病態との関連を精査している。
2: おおむね順調に進展している
糖尿病腎症の発症・進展におけるLR11の関連を検討するに当たり、当初の研究計画に沿った実施が行われているため。
糖尿病腎症の発症・進展とLR11との間に何らかの関連が認められる見通しが立ったため、当初の研究計画に沿って実施する予定である。
当初の使用計画から大きく変更する予定はない。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件)
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