研究課題/領域番号 |
23500871
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
渡瀬 典子 岩手大学, 教育学部, 准教授 (90333749)
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キーワード | 家政学 / 家庭科教育 / 社会関係資本 / 生活改善 / リーダーシップ |
研究概要 |
本研究課題は家政学及び生活科学論が果たしてきた社会関係資本形成、リーダーシップ育成機能の再考、「日本型の家政教育・家庭科教育」の再評価を目指すものである。検討にあたり以下の3つの枠組み(1.「国民の生活をよりよくする」という思想的系譜・現象の整理、2.学校教育、社会教育における問題解決型の学習とリーダーシップ育成に関わる教育実践の分析、3.学校教育、社会教育が果たす公益的な社会参加活動及び社会関係資本形成機能の現状分析)を設定した。 平成25年度では「枠組み1」について、昭和~平成の生活改善にかかわる文献資料の収集を行った。また、これまで収集してきた生活改善事業と家政学に関する資料をもとに、昭和期における「地方」の生活を“よりよくする”観念に注目し検討を試みた。これらの成果の一部は学会で口頭発表を行った。 次に、前年度口頭発表した家庭科教育学の研究者による被服製作の指導と「問題解決型の学習」理念に関する研究を論文化し、発表した。被服製作と同様に「技能習得型の学習」として捉えられてきた調理実習についても検討し、学会で口頭発表を行った。また「セクシュアリティ」の観点から、思春期における人間関係形成機能、問題解決場面での推定される支援行動に注目し、検討を試みた(枠組み2)。 「枠組み3」は、昨年度の成果を踏まえ、(1)児童・生徒の基本的生活習慣形成、生活技術力の現状と家族、(地域)との関係の分析、(2)高齢期にある人々への政策的な「生きがい」創出事業の整理(公益的な社会参加活動の分析を含む)、に注目した。(1)については、四半世紀前に比べ、家族のイベント(誕生日会等)の機会が増え、家族間の朝の挨拶の習慣があると認識する子どもが増えたことが明らかとなった。(2)については、資料を収集し、平成26年度に報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は「枠組み1国民の生活をよりよくする」という思想的系譜・取り組みの検証」について、成果の一部を報告することができた。また、「枠組み2」について、これまで口頭発表してきた内容を論文化することができた。「枠組み3」については、「現状分析」に関する資料収集、分析枠組みの設定まで目途を付けることができたが、「事例的研空調査」の範囲について、来年度に向けて現在再検討しているところである。以上の状況から「(2)おおむに順調に進展している」という自己評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画について大幅な変更は現在予定していない。「枠組み1」についてはこれまで収集した資料をもとに、成果報告をさらに進める予定である。「枠組み2」は学校教育における実践例を補足し、成果をまとめる方向である。「枠組み3」は、成果の報告とともに、「学校」、「高齢者」に焦点を絞って課題の焦点化を図りたい。
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