研究課題/領域番号 |
23500873
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
木村 美智子 茨城大学, 教育学部, 准教授 (70214898)
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研究分担者 |
大辻 永 茨城大学, 教育学部, 准教授 (20272099)
佐藤 裕紀子 茨城大学, 教育学部, 准教授 (00272740)
郡司 晴元 茨城大学, 教育学部, 准教授 (40311279)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 環境配慮行動 / ライフスタイル / 環境教育 / 家庭科教育 / 消費者教育 / 持続可能性 |
研究概要 |
本研究は「生活者の視点」に立ち、環境に配慮した持続可能なライフスタイルを実現するための環境教育の枠組みを構築することを目的として、23年度は主に「大学生の環境配慮行動の分析」を進めた。具体的には、大学生が受けてきた環境教育・消費者教育・家庭科教育の経験と環境配慮行動との関係、親の行動様式が大学生の環境配慮行動に与える影響、を明らかにするために、高等学校家庭科教科書の内容分析と質問紙調査(茨城県内)を行った。(1)高等学校家庭科教科書42点の記述内容の分析を行い、持続可能な社会の担い手を育成する教科として家庭科の可能性を検討した。その結果、近年の家庭科では家事労働への参画を通じて個の自立とともに相互の助け合いとパートナーシップの構築が標榜されており、持続可能な社会の担い手を育成するうえで有効な教科であることが確認された。(2)大学生とその親を対象とした「大学生親子ペア調査」の結果、消費者教育を受けた経験や環境知識は概して大学生の方が高く、環境配慮行動の実行性では親の方が有意に高いことが明らかとなった。大学生の環境配慮行動の実行性に影響する要因分析では、世帯構成(一人暮らし,家族との同居)や親の消費購買行動との関係を中心に検討を行ったところ、大学生の環境配慮行動を促す要因として、親の消費購買行動が大きく関与していることが確認された。すなわち、「商品表示をよくみる」「商品ブランドや企業への関心度が高い」「物を修理し大切に使う」などの行動を示す親をもつ大学生は、リサイクル活動への参加、リサイクル商品の購入、過剰包装・レジ袋を断る、などの環境配慮行動の実行性が高い傾向を認めた。(3)国内での調査結果(上記(1)および(2))を踏まえ、日本と同様に環境教育の制度化が進んでいる韓国の現状を調査し、24年度以降の海外調査を円滑に進めるための布石とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大学生を対象とした環境配慮行動に関する意識調査において、大学生の親の消費購買行動の影響が関与していることを明らかにできたことは大きな成果である。一方、当初は国内数か所を対象としていたが、今年度は関東圏のみの大学に留まったため、次年度以降、継続して調査を進める。
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今後の研究の推進方策 |
東北・北海道、関西、九州などの大学を対象として、大学生の環境配慮行動に関する意識調査をさらに進展させる。海外(カナダ,スウェーデン)での消費者教育、環境教育の現状を把握し、日本との違いを明確にする。以上の結果に基づき、環境意識―環境配慮行動をつなぐ理論の枠組みを構築し、「生活者の意識と環境配慮行動をつなぐ仕組み(ゲーミング)」の設計に着手する。
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次年度の研究費の使用計画 |
国内調査(北海道,宮城,東京,名古屋,大分)ための旅費、ならびに海外調査(カナダ,スウェーデン)のための旅費を使用する。質問紙調査依頼のための謝礼、ゲーミング設計に関する意見聴取のための専門家への謝礼、海外での通訳や翻訳のための謝金、データ整理のための謝金を予定している。ゲーミング設計に使うパソコンやソフト、図書、資料整理のための文房具類を購入する。
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