高齢者の歩行経路上へのベンチの設置は重要であるが、そのためには、商店街の個店前への設置は重要な候補となる。本年度は、高齢者の歩行経路の中心となった商店街でベンチを設置し、「管理してもよい」とする個店の意向を個店へのアンケートを通して明らかにした。一方で商店街へ設置するベンチのデザインおよび商店街への提案を行った。 設置意向アンケートでは全体を通して6割の個店でベンチの設置は不可との回答で、既設置と設置可で2割強、客用可が2割弱となっていた。ベンチ設置意向あり(既設置・設置可・客用可)との回答を母数とすると、店舗内でのベンチ設置では、全体では約3割、アーケードの柱や歩道までのベンチ設置では、全体でも6割を超える回答で設置可能となっていた。 また、個店の基本属性とベンチの設置意向をクロス集計した。全商店街では、自店でベンチの設置決定権がある場合には、客用であれば設置可とする回答まで含めると、6割までが設置について意向を示しているのに対して、本社に設置決定権がある場合2割5分まで設置意向が下がる。全体でも、客用であれば設置可とする回答まで含めると4割を超える個店で設置可との回答であった。 全商店街の個店を対象としたデータをもとに、ベンチを既に設置・設置してもよい・客用であればよいとの回答をした個店と設置不可と回答した個店を判別する条件を統計的に抽出した。全商店街の個店の中からベンチの設置意向ありの個店の83%を、「ベンチ設置決定権/自店>操業年数/5年以下もしくは101年以上」、「ベンチ設置決定権/本社・不動産管理会社・契約上不可>回答者年齢/30歳以下もしくは51-64歳>操業年数/5年以下もしくは11-50年」、「ベンチ設置決定権/自店>操業年数/21-100年>回答者年齢/31-64歳」の条件で抽出することができた。
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