H25年度はH23年度より継続して行っているアルツハイマー型認知症高齢者を対象とした回想法グループと付き添い家族の会を5月上旬より①5月17日~7月19日 ②10月4日~12月8日 ③1月10日~3月14日 の期間 週1回90分 計30セッションと 3回のフォローアップを行った。H25年度は15家族の協力を得て、最終調査協力者は42家族となった。 H24年度に行ったひきこもりやBPSDがみられる認知症高齢者のグループ回想法の効果について検討したところ、認知機能評価尺度(HDS-R・MMSE)には実施前と実施後で有意な差は認められなかったが、改訂版PGCモラールスケールでは得点の改善が認められた。また、心理教育的アプローチを実施した家族へのZarit介護負担尺度においては、改善は認められなかった。以上の結果について、第32回認知症学会学術集会で発表した。今年度は介護家族の会は、心理社会的教育アプローチと ピアカウンセリングを混合したグループ運営を試みたが、介護家族にとって、運営方法への満足感に差はなく、むしろ、グループ参加のプログラムにおいて、初期 中期 後期と時間的なプロセスに応じて 変化のあるプログラムが望まれた。病名告知より時間経過の少ないグループ参加初期にあっては、病院受診のオリエンテーションや薬物についての知識、病状理解など、心理教育的なグループ進行に希望が多く、中期以降は、情緒的サポートの要素が望まれた。また、グループ後半には介護保険制度などへの関心が高まり、参加者間での情報提供が促進された。実践された8グループにおいて、認知症高齢者本人においてはグループ回想法の効果が認められ、付き添い家族においては、グループの時間経過によって、心理社会的アプローチとピアカウンセリングを折衷した柔軟なプログラムが有効であると考えられた。
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