研究課題/領域番号 |
23500888
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
岸本 妙子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (80249375)
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研究分担者 |
大本 久美子 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (30548748)
吉井 美奈子 樟蔭東女子短期大学, 生活学科, 講師 (60413481)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 消費者市民教育 / 生活力育成 / 消費者教育の体系化 / 食生活分野 / 食育教材 |
研究概要 |
消費者市民教育の体系化を図るための領域分けは、申請者らのこれまでの研究成果に基づいて、「安全」、「契約・取引・家計」、「生活情報」、及び「環境・責任・倫理」の4つの領域を用いた。大学生にとって具体的な事例を挙げて、達成度調査のための設問を作成し、食生活分野については、「安全」領域で6問、「契約・取引・家計」領域で4問、「生活情報」領域で4問、及び「環境・責任・倫理」領域で4問の計18問からなる調査票を作成し、さらにフェイス項目以外に回答者の食生活実態と消費者意識を把握できるような設問を工夫して、7大学において計623票を回収した。分析の結果、4領域の各項目の平均値はさまざまであり、t検定の結果、達成度に男女差もしくは家族状況による有意差がみられた。学生の領域別達成度をレベル(1)、(2)、及び(3)の3段階に分け、生活力育成のための課題について考察した。まず、食生活分野において実施した領域別達成度調査に基づいて、レベル(1)(消費者として必要な技能や知識を持っているレベル)を対象にした消費者教育の体系化のための消費者教育教材を作成した。作成教材は、「販売者」と「消費者」に分かれて買い物を行う消費者教育教材「鍋の食材売買ゲーム(通称、鍋ゲーム)」である(春夏バージョンとして通称、バーベキューゲームも開発した)。4年制大学生・短大生を対象として2大学で試用して改良を行い、事前・事後調査を検証した結果、全ての領域別目標で点数の向上が見られ、学生の満足度も高かった。 レベル(2)(技能や知識がやや不足するレベル)及びレベル(3)(技能や知識が不足するレベル) では、レベルに応じて必要な知識の提供を行ったうえで消費者市民教育のための教材を使用することとし、食生活全般に関するクイズ形式の設問と間違えた場合の学習教材を作成し、その一部は「塩分摂取及び食品添加物に関する食育教材」として試用した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
衣生活・住生活分野について大学生にとって具体的な事例を挙げて、達成度を測るための調査票を作成した。「安全」領域では衣生活分野で3問、住生活分野で3問、「契約・取引・家計」領域では衣生活分野で3問、住生活分野で3問、「生活情報」領域では衣生活分野で2問、住生活分野で2問、及び「環境・責任・倫理」領域では衣生活分野で6問、住生活分野で3問の計25問からなる調査票を作成し、さらにフェイス項目以外に回答者の家族関係や生活経営にかかわる消費者意識を把握できるような設問11問を工夫して、7大学において計430票(有効回答数422票)を回収した。これらの衣生活・住生活分野で実施した領域別達成度調査に基づいて、消費者教育の体系化に関する検討を行い、現在分析中である。 並行して、大学生での調査結果に基づいて、衣生活分野での消費者教材のための課題と条件を探り、レベル(2)(技能や知識がやや不足するレベル)及びレベル(3)(技能や知識が不足するレベル)を対象に、特定のマス目に到達すると質問に回答するすごろく形式の得点獲得ゲーム教材を作成し、併せて特定のマス目で学べる学習カードも作成し、2大学において試用のうえ、目下改良中である。 以上のように、「研究の目的」の達成度に関しては、住生活分野の教材及び食生活と衣生活の教材の改良を除き、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
生活力育成を目指した消費者市民教育のために、4つの領域別に達成度調査を行って、3段階のレベルに分け、生徒・学生のレベルを見極めたうえで、それぞれの特性に沿ってレベルに合わせて使用する教材を開発する方策は堅持する。ただ当初は、食生活分野、衣生活・住生活分野、家族関係・福祉分野、及び生活経営分野について教材開発を考えていたが、研究費圧縮により調査回数を減らす必要があり、「安全」、「契約・取引・家計」、「生活情報」、及び「環境・責任・倫理」のそれぞれの領域で家族関係や生活経営に関する設問を一部組み込むこととする。したがって、食生活分野、衣生活分野、及び住生活分野について領域別達成度調査及び教材開発を実施することとし、家族関係・福祉分野及び生活経営分野については、領域別達成度調査を見送り、教材開発のみとする。最終年度は、分野ごとにレベル別教材の難易度をチェックし、分野による重複を確認する作業を行う予定である。開発した教育教材とその資料の改良に十分な検討を重ね、現場の教員にとって利用しやすいように、レベル別に開発した教育教材及び資料から印刷教材を作成することとする。 これまで行ってきた消費者教育に関する調査において、年齢層による消費者意識の違いが浮き彫りになっている。その中で、領域別達成度ごとに利便性、経済性、健康面、環境への影響、安全性などについて自らのライフスタイルに合うものを選択できる自立した消費者を育成するために、大学生だけでなく、高校生を対象としても開発教材使用の事前・事後調査をそれぞれの分野の教材で行うこととする。
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次年度の研究費の使用計画 |
衣生活・住生活分野での達成度調査についての打ち合わせのために、研究会を兵庫県で3回(予定)、大阪府で2回(予定)、及び岡山県で1回(予定)開催する。 各自の分担で進めている教材の改良を平行して行う。食生活分野・衣生活分野の開発教材の改良及び住生活分野教材の開発にあたり、印刷にかかわる消耗品費が必要となる。開発教材の事前・事後調査の分析にあたり、データ入力のためのアルバイト代が必要となる。 衣生活・住生活分野での領域別達成度調査結果を、消費者教育学会の関西支部研究発表会(大阪教育大学)及び全国大会(川崎医療福祉大学)において、研究発表する予定である。衣生活分野で開発した教材については、家庭科教育学会全国大会(東京学芸大学)において研究発表する予定である。
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