本研究は、平成17年度から開始した「絵本を介した親子の相互作用に関する縦断的研究」を踏襲し、乳児期から就学期にかけての親子間の絵本を介した読み聞かせを分析することで、子どもの読書態度およびコミュニケーションスタイルの習得と親子間で行われる情報交換との関係を明らかにすることを目的としている。 平成25年度は、小学2年生の子どもをもつ家庭12組を対象に絵本の読み聞かせ場面における親子の発達的変化、および協力家庭および協力家庭と同年齢の子どもをもつ家庭への質問紙調査を行った。その結果、以下の点が明らかとなった。 1.絵本ダイアリーを通した親子のやりとり:家庭における絵本の読み聞かせは小学校入学後減少している。配付絵本を親子で繰り返し、じっくり読んでいる親子が多く、読み聞かせが習慣づけられている。 2.子どもが選択した絵本と親が選択した絵本の好み:親子それぞれが好きな絵本を持参し、インタビュー調査を行った結果、以下のことが明らかとなった。①親子ともに好きな絵本が明確である、②配付された絵本から興味をもち、読む絵本が広がっている、③親が子どもの反応を肯定的に受け止めている、④子どもの様子を親はよく観察しており、子どもの好みやその変化も理解している。⑤親の好きな絵本に対しては、それを子どもが好きな場合と嫌いな場合があり、その理由は明確である。以上のことから、絵本との出会いが身近にあり、継続的な読み聞かせにより、絵本を読む習慣が形成されることが明らかとなった。 3.就学期の幼児をもつ養育者の絵本に対する考え(養育者637名対象):絵本の読み聞かせにより子どもの知性や感性が育つことを望んでいる。養育者の絵本の読み聞かせに対する考えの違いは、実際の読み聞かせ行動や文字への取組にあまり影響を与えることはないと言える。これは、子どもが、就学期であることも大いに関係しているのではないかと考える。
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