研究課題/領域番号 |
23500896
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
村山 伸子 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (80219948)
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研究分担者 |
石川 みどり 国立保健医療科学院, その他部局等, 研究員 (90412874)
大内 妙子(山本妙子) 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (40290001)
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キーワード | 貧困 / 子ども / 食生活 / 栄養 |
研究概要 |
本研究の目的は、現代日本において家庭の経済状況は、子どもの食生活と栄養状態に影響するかについて実態調査から明らかにすることである。平成24年度は、生活保護世帯が入所するK県の母子生活自立支援施設1施設で入所全世帯の子ども全員に協力を依頼し2歳~15歳の21人(食事調査は19人)から回答が得られた。調査内容は、食生活調査と3日間(平日2日、休日1日)の食事調査である。その結果、低所得世帯の子どもの食事内容は、平日は、朝食は主食のみまたは主食と乳製品等の食事が7割、昼食は保育園や学校の給食、夕食は主食、主菜、副菜を組み合わせた食事は約4割であった。1日に2食以上バランスが良い食事(主食、主菜、副菜がそろった食事)をしている子どもは約5割で、全国平均7割に比べて低かった。休日は昼食で欠食や主食のみが5割、夕食でも主食のみが3割あり、1日に2食以上バランスが良い食事をしている子どもは3割に満たなかった。学校給食が無い休日に場合には問題が大きいことが示唆された。 朝食摂取は、ほとんどの子どもがほぼ毎日食べていたが、「家の人がお店で買ってきたものを食べる」と回答した子どもが約5割(比較群2割)と多かった。家庭で「肉、魚、卵、豆腐」のどれかを毎日1食以下しか食べない子どもが6割(比較群4割)多かった。逆に菓子や清涼飲料の摂取頻度は少なかった。 これまで母子家庭で生活保護世帯の子どもの食事について報告されたものは日本に無く、初めて実態が把握されたことは意義が大きい。低所得世帯の子どもの食事の課題の仮説として、特に休日で主食・主菜・副菜がそろった食事が少なく、日常的に肉、魚等のたんぱく質源の食品が少ない可能性が把握されたことは今後の研究にとっても意義が大きい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究目的は、現代日本において家庭の経済状況は、子どもの食生活と栄養状態に影響するかについて実態調査から明らかにすることである。実態調査として、平成24年度には生活保護世帯の子ども100人の調査を実施、平成25年度には2地域200人を加えて合計300人の調査を実施する予定であった。しかし、実際にはK県の生活保護世帯20世帯の調査に留まった。他の1つの都道府県でも調査の準備を進めていたが、個人情報や人権の問題から他の地域では生活保護世帯を特定した調査をして結果を公表することへの協力を得るのが困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度へ研究費を繰越した理由は、平成24年度は新潟市3カ所の集会の場で調査を実施する予定であったが、集会を設定する機会が得られなかったため予定を変更し、調査に了解が得られたK県の母子生活支援施設で調査を実施することになったためである。平成25年度はK県の施設での新たな対象者への調査を追加する予定である。また、N県の同様の施設で調査が実施できるよう調整する。 また、生活保護世帯を特定した調査は協力が得られにくいうえ、比較する群を設定することも必要である。これらの問題に対応するため、平成25年度は小学校で調査を実施することとし、K県、N県の各1市に調査を依頼し了解を得た。各県200人(男女各100人)で、合計400人の子どもに対して家庭の経済状態と食事の調査をおこなう。そのため、研究費を繰越して平成25年度の調査と解析のために使用することとした。平成26年度には計画どおり、解析とアジアの研究者との研究交流をおこなう予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度調査にあたり、繰越金と平成25年度配分研究費を合わせて使用する。調査のための物品、交通費、データ入力と解析のための賃金が中心となる。
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