研究課題/領域番号 |
23500896
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研究機関 | 新潟県立大学 |
研究代表者 |
村山 伸子 新潟県立大学, 人間生活学部, 教授 (80219948)
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研究分担者 |
石川 みどり 国立保健医療科学院, その他部局等, 研究員 (90412874)
大内 妙子 (山本 妙子) 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (40290001)
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キーワード | 子どもの貧困 / 食生活 / 栄養 |
研究概要 |
日本の子どもの貧困率が先進国の中でも高く、家庭の経済力が学力や様々な生活面に影響していることが示唆されている。平成25年には「子どもの貧困対策法」が制定され、今後具体的な政策が策定されるにあたり、その根拠が必要とされている。生活の中でも食生活は心身の成長に直接影響するため重要な課題であるが、家庭の経済状態との関連について現代日本における研究はみられない。そこで、本研究の目的は、現代日本において家庭の経済状況は、子どもの食生活と栄養状態に影響するかについて実態調査から明らかにすることである。平成24年度は、生活保護世帯が入所するK県の母子生活自立支援施設での食事調査から低所得世帯の子どもの食事の課題の仮説として、特に休日で主食・主菜・副菜がそろった食事が少なく、日常的に肉・魚等のたんぱく質源の摂取量が少ないことが示された。平成25年度はこの仮説を検証するために実態調査をおこなった。対象は4県の小学校に在籍する5年生約1400人に調査協力を依頼し、約1200人の児童と保護者から回答を得た。調査方法は、児童自身が平日2日間、休日2日間の食事記録をつけ(写真撮影を含む)、食生活の質問紙調査に回答してもらった。保護者への質問紙で家庭の経済状態を把握した。また栄養状態の評価のために学校健診の身長・体重を把握した。今後、低所得の児童に着目して、食事パタン(主食・主菜・副菜がそろうかどうか等)を中心とした解析をおこなうことで、家庭の経済状態と食生活との関連を検証する。欧米では、世帯の経済状態と子どもの食生活との関連が日本で初めて明らかにされる意義は大きい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した目的について実証するためのデータを収集できた。対象者数は予定300人より多く、1200人のデータが得られ、回収率も高かった。しかし、ヘモグロビン測定は倫理的に難しく、身長や体重で栄養状態を把握することにした。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、質問紙調査、学校健診からえられたデータを解析し、世帯の経済状態と子どもの食生活、栄養状態との関連について論文化する。その際に、当初の目的どおり、経済状態が、保護者の学歴や知識等を経由して、子どもの食事に関連するのか、あるいは直接的に影響するのか等も明らかにする。同時に、食事記録1人4日分の解析をおこない、食世帯の経済状態と食事内容との関連についてより定量的に明らかにする。このことは、日本の「子どもの貧困」に対する政策の必要性について検討する基調な資料となると考える。また、社会経済的要因と食生活との関連を研究している研究者とのシンポジウムを予定しており、この分野での今後の研究の展開についても議論をおこなう。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査データの解析の人件費が、次年度に必要なため保留した。 食事記録解析のための人件費として使用する予定。
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