日本の「子どもの貧困率」は先進国の中でも高く、2004年14.7%から2012年16.3%と増加した。食生活は心身の成長に直接影響するため重要な課題であるが、実態は知られていない。そこで、本研究は、2011~2014年度まで現代日本において家庭の経済状況は、子どもの食生活と栄養状態に影響するかについて明らかにすることを目的として実施した。本研究期間中の2013年に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が制定され、今後の対策の根拠となる研究の必要性がさらに高まった。 2011年に関東の生活保護世帯が居住する3施設を対象に、施設職員等へのヒアリングを実施した結果、子どもの食生活について欠食が多い等の課題が指摘された。2012年は関東の母子生活自立支援施設での食事調査をおこなった。2013年は小学校で食事調査、2014年はNPOと連携して、生活困窮世帯(66世帯)の子どもの食生活について調査をおこなった。その結果、休日は1日に2食以上が欠食または主食のみの人が6割、主食はパンか麺が多い、主食・主菜・副菜がそろう食事が1日に1回もない人が8割以上と多いことを明らかにした。追加調査で、生活困窮世帯の幼児(23世帯)を対象に平日の食事調査をおこなった結果でも、主食のみの食事が多く、たんぱく質やビタミン、ミネラル等の栄養素摂取量が少ないことが明らかとなった。 以上より、家庭の経済状態は、子ども食生活に影響することが明らかになった。特に低所得(生活困窮)世帯の子どもの食事について、欠食が多く、主食に偏り、たんぱく質やビタミン、ミネラル等の栄養素摂取量が少ないという課題があることが示された。
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