研究課題/領域番号 |
23500902
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
川端 博子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (70167013)
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研究分担者 |
鳴海 多恵子 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (90014836)
生野 晴美 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (80110732)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | マタニティブラジャー / 衣服内気候 / 耐久性 / 授乳 / 微生物の繁殖 |
研究概要 |
代表者の川端は、授乳用下着の着用時の衛生状態を明らかにする基礎的資料として、授乳期の女性のブラパッド内部の衣服内気候と着用感を計測した。授乳期のパッドには多い時には母乳付着が10gを超える時もあり、衣服内部の環境は36℃、70%を超えており、高温多湿であった。女子学生による夏期を想定した実験室内での母乳パッドの種類を変えて温湿度を比較したところ、使い捨てパッドはもっともドライな状況を保てることが分かった。しかし、バストは蒸れ感が感じとりにくいため、こまめな交換が必要といえる。引き続き、授乳ブラの市場調査と使用実態を把握する質問紙調査を実施するとともに授乳期の女性に使ってもらう着用実験の計画立てと準備を行った。 分担者の鳴海は授乳ブラは耐久性が低いと捉えている消費者の声を、洗濯実験と着用実験を行って実証した。4種の授乳ブラを対象に洗濯回数10回、30回、60回、90回後の寸法変化と着用感をとらえた。洗濯によって早い段階で収縮が生じ、特にウエール方向にその傾向が著しいこと、肌触りにも影響が生じてくることを明らかにした。 分担者の生野は、授乳用下着の着用時の衛生状態を明らかにするために、質問誌調査と微生物実験を行った。夏期、下着への母乳付着が多く、着用時間が長い場合に蒸れや臭いが気になることが確認された。微生物(表皮ブドウ球菌)の増殖値は、ミルクが付着した場合、下着素材(綿、ポリエステル)による差異はないが、生乾き状態が続くと2倍を超えることから、母乳パッドの適切な交換が必要であることが示された。 以上の内容について、口頭発表3件、紀要論文1件を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各研究者は、申請した計画書に沿って研究を進めた。院生2名、学部生1名の参加協力も得られてマンパワーも充実していた。 3名の研究者が相互に連携して、実験を遂行した。被験者の着用実験の実施にあたり、人工気候室を借りて施設面の共有を図ったことで、逐次に意見交換ができた。試料においても、相互に関連性を持たせて選定した。保育園児の母親を対象とする実態調査においては各分担者がねらいとする項目内容とともに全体をみつめて統一性を持たせた。データの配付・入力も分担して行い、得られたデータは共有して分析した。比較的大学が近く、代表者が非常勤講師として定期的に行き来できたため、年間を通して相互的に意見を交わすことができた。 また、メンバーで中間報告会を行ない、それぞれの研究者のポジショニングを参加学生も含めて確認し合った。 実績の欄に記載した通り、紀要論文1報、学会発表3件を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
代表者の川端は研究チームの研究総括を務め、次年度以降も相互連携を図りながら研究を進めていく。個別の研究としては、市場調査をもとに授乳ブラの販売動向についてまとめる。昨年度保育園児の母親を対象として実施した調査とを合わせて、サイズ不適合などの問題点を分析する。 上記、2つの調査をふまえ、授乳機能の異なる4種のブラを選定し、授乳期の女性14名の協力を得て、継続的に着用してもらい、ブラの授乳機能と耐久性に関する着用評価を行う。 分担者の鳴海は、昨年度に引き続き、洗濯・乾燥を繰り返すことによる品質低下に関するモデル実験を行い、授乳ブラの耐久性に関する消費科学的要因についてまとめを行う。 分担者の生野は平成23年度に行ったブラ・パッドの微生物繁殖状態に関する実験のまとめおよび授乳ブラに付着した汚れ成分の除去に関する実験に着手する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度(最終年度)は、研究費は少額で平成24年度中に実質的な実験を完了させる計画となっている。次年度は24年度までの実験・調査のまとめを行う予定で、研究を広く公表する方向で進めていく。
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