研究課題/領域番号 |
23500906
|
研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
山田 由佳子 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (20304074)
|
研究分担者 |
井上 真理 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20294184)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 乳幼児ズボン / 引張特性 / ウエストゴム / 衣服圧 |
研究概要 |
本研究は圧感覚の主観的評価が難しい子どもに対し、血流を測定することで圧迫に対する客観的評価を行うことが主な目的である。まず本年度は、種々の実験用ズボンを作製してウェスト部分の引張特性の測定及びボディによる衣服圧測定を行い、H24年度に実施する血流測定用の実験用ズボンウェスト部分の構成を決定した。衣服圧測定の際は加圧校正装置を用いて曲率に対する接触圧センサーの誤差の修正を行った。結果は以下の通りである。 実験用ズボンのベルト部分の構成については、ベルト幅3cmとし、ゴム紐の本数は、1、2、3本の3種類とした。これらそれぞれの本数の合計で、同様の引張特性となるよう、ゴム紐を選定した。これらのウェスト部分の伸張力[N]を測定した結果、1本ゴムに比べて2本、3本ゴムは縫い目の影響が出ることから、十分なギャザーのゆとりがない状態では高い伸長ひずみにおいて大きな力がかかることが確認された。 又、今回それぞれ同様の引張特性となるよう、ゴム紐を選定したが、実際には理論値と大きくずれが生じた。この原因として、特に2本、3本ゴムズボン作成時にゴム紐を通す際、非常に通しにくく、一度ゴム紐が最大限まで引き伸ばされてしまった事の影響があったと考えられる。1本ゴムに使用する幅の広い織りゴムに比べて、2本、3本ゴムに使用する幅の狭いコールゴムは一度引き伸ばした際の形状変化が著しく、ゴム通しの影響が大きい事が明らかとなった。 衣服圧については、曲率の修正を行った上で、それぞれのズボンごとの種々の締め付け率における伸長力と、衣服圧が直線関係にある事が確認されたが、幅の狭いゴム紐用のエアパックは誤差が大きく、人体での測定には不適であることがわかった。 以上の結果から、H24年度に幼児に着用してもらうズボンは主に幅広織りゴムを使用した1本ゴムズボンとし、φ20mmのエアパックを用いて測定を行うことに決定した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H23年度の研究計画における、H24年度用の実験ズボンのウェスト部分の構成の決定及び作成は完了しており、それぞれのズボンごとの種々の締め付け率における伸長力と、衣服圧が直線関係にある事も確認できたことから、おおむねH23年度実験計画の目的は達成出来たと考えている。 しかし、伸長力の測定において、実験用ズボン作成時にゴム紐が一度引き伸ばされると、長さ等の形状が変化し、伸長力が低下する現象が、それぞれのゴム紐によって異なる傾向が認められたことから、それぞれのゴム紐ごとの一度引き伸ばした後の伸長力低下挙動を把握する事が課題として残った。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の方策として、まず、課題として残った引き伸ばし後の伸長力低下挙動を把握する為に、1本ゴムに使用予定の幅の広い織りゴムをはじめ、幅の狭いコールゴムにおいても一度最大限まで引き伸ばし、応力緩和した後のゴム紐の引張特性を測定し、使用されている糸ゴムの種類及び織り、組み構造の違いと伸長力低下挙動の関係を明らかとする。これを踏まえて伸長力と衣服圧との関係を検討する。 又、接触圧センサーの誤差測定において、細いゴム用の幅5mmのエアパックの誤差が大きく、ボディにおける測定では検量線が作成できるが、人体においてはその測定方法上、難しい事から、H24年度の測定には曲率による誤差が少ないことが確認されたφ20mmのエアパックを使用することとする。又、血流測定用エアパックがφ20mmしか存在しないことからも、本研究では幅広い1本ゴムベルトでの締め付け率の違いによる衣服圧及び血流の変化に焦点をあてることとする。 年度計画に示したアンケート及び着用実態調査については、新たに発生した一度引き伸ばし後のゴム紐の伸長力実験の問題解決の進行状況によってはH25年度へ変更の可能性もあるが、現在の所、予定通りH24年度に実施予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
H23年度はほぼ予定通り経費を使用しており、最後に文房具を購入予定だった1,497円は、緊急性が無かった為H24年度に繰り越し、予定通り文房具購入にあてる。 H24年度は本研究のメイン実験である、幼児の腹部前面の衣服圧及び血流測定を行う。そのため、衣服圧、血流等が一度に計測できる、皮膚血流計測システム(AMI製 ALF21R 、A00010T)(1×@2,625,000)を予定通り購入する。これにより、圧感覚の主観評価が難しい子どもに対して、圧迫に対する客観的評価が可能となると考えている。 又、このような子どもを対象とした実験は、被験者の積極的な協力が得られないことが予想されることから、子どもの精神状態に柔軟に対応出来る体制を整えて、測定を行う必要がある。そのため、通常の実験より多い実験補助2~4名をおく。更に、被験者を募る際に保護者の同意を得る必要があり、謝金を出す場合も想定していることから、人件費・謝金の支出項目を予定通り270,000円とする。その他、旅費も計画通りの予定であり、合計3,001,497円の支出予定である。
|