本研究は、圧感覚の主観評価が難しい子どもに対し、衣服圧及び血流の測定により圧迫に対する客観的評価を行うことが主な目的である。H25年度は、当初の研究計画通り、ズボンのずり下がり性について実験を行った。その結果、ずり下がりに影響を及ぼす要因としては、動作の違い、ウエスト周長の変化率、生地の違い、ウエスト部の構成、ゴム紐、締め付け率が挙げられ、今回の実験では、ボディ、人体共に背伸び動作より飛び跳ね動作時にずり下がりが大きく、飛び跳ね動作時には布重量の影響が大きいこと、又、ベルト幅が広い方がずり下がりにくい傾向にあることが明らかになった。又、H24年度中に実施したアンケート調査の更なる検討を行った結果、8割以上の人が子どもの着用中のズボンがゆるい又はきついと感じた経験があった。その際に半数近くの人がゴムの交換口が無く、対応できなかった経験があるにも関わらず、ズボンの購入時にウエストゴムが交換できるかどうかを重視する人は10項目中最も少なく、意識の低さが伺われた。 研究期間全体を通しては、着用実験用のズボンのウエスト構成決定のため、引張特性及びボディでの衣服圧を明らかにした上で、幼児70名を対象に着用実験を行い、ズボンウエストの衣服圧及び血流の現状を把握した。更に、ずり下がり実験により最適なウエスト構成を検討した。又、保護者へのアンケートを行い、衣服購入時の問題点を明らかにした。 しかし、H23年度に想定外の新たな課題として明らかとなった、ゴムを引き延ばした後に起こる伸長力低下についての検討は、ゴムが太いほど低下が少ないことが確認されたが、糸ゴムの種類や織り編み構造、圧縮特性との関わりについては明らかに出来なかった。しかし、今回のメイン実験である着用実験結果には影響を及ぼさないことから、ゴム紐そのものの伸長力の解明は今後の研究において行う予定である。
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