本研究は、歴史・自然環境と伝統的な町並みの中にある生活空間を次世代に継承していくため、住様式視点から歴史的居住地の持続性を検討し、居住地として存続するための住宅・住環境計画の新たな課題を明らかにするものである。本研究の調査対象とした奈良町北地区は、2000年に実施した調査(奈良女子大学今井範子研究室実施)と同様の、比較的古い町家の残る6地区(押上町・今小路町・ 手貝町・東包永町・東笹鉾町・半田町(南半田西町・南半田中町・南半田東町・北半田西町・北半田中町・北半田東町))である。 研究計画に基づき、本年度は住宅改修の現状と居住者の居住形態・家族形態から住宅改善の課題を検討した。あわせて、先進事例調査を実施し、本研究の取りまとめを行った。 1)論文執筆、学会等における資料収集:前年度に引き続き、2011年に行った奈良町北地区の居住者を対象とした質問紙調査の結果を分析し、特に2000年の調査対象との経年比較を行い、奈良町北地区における住宅改修の現状と居住者の居住形態・家族形態から住宅改善の課題に関する分析と論文執筆を進めた。 2)町家再生事例の調査、空き家利活用による環境整備に関する聴き取り調査の実施:地域貢献型多世代賃貸住宅事例の追跡調査、 実務者・事業主への聴き取り調査、細街路整備事業の実績調査、物件資料等を収集し、空き家利活用によって展開されている環境整備の動向を分析した。 3)学会発表:調査研究の成果(2011年度に調査実施済)を、(一社)日本家政学会大会(昭和女子大学)において発表した。
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