研究課題/領域番号 |
23500912
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
佐藤 仁人 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (70363968)
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キーワード | インテリア / 色彩 / 白色化 / 住宅 / 心理 / 生理 |
研究概要 |
平成24年度は,基調色の白色化の程度と照度レベルによるリラックスの度合い,眩しさ・視覚疲労感への影響評価を行うことを目的として,縮尺模型による確認実験を行った。居間を想定した1/10の縮尺模型を作成し,その壁と床の色彩を実験要因として,インテリアの印象と色彩の許容性を被験者に評価させた。壁の色彩は,色相が5水準(5YR,5Y,5GY,5B,5PB),明度が2水準(9,8),彩度が2水準(0.5,1)を組み合わせた40パタンに,無彩色,住宅において使用頻度の高い色を合わせて,46パタンとした。被験者は,青年層(20歳代)と高年層(60歳代)各20名であった。模型内の照度条件は500lxについて行った。 その結果,青年層と高年層では因子のとらえ方に多少の違いがあることが明らかとなった。色相など様々な要因が印象評価に関係していたが,今回の実験で特に大きな影響を与えた要因は空間の明るさであった。 青年層は適度に明るい空間を好み,高年層は青年層に比べやや暗い空間を好む傾向があることが明らかとなった。無彩色の壁面の印象評価については,白い壁面のパターンは眩しさの面で際立って評価が低くなった。 白く明るい空間はどの年代にも受け入れられやすく,美しく快活な印象を与えるが,他の色に比べて強い眩しさを与えてしまうため,リラックスの面ではあまり好ましい色ではないことは明らかである。 前年度のCGによる評価実験では,評価することのできない光環境を模型内に再現し,印象および許容性の評価を行えたことは,次年度に実施する実空間での評価につなげる上で意義のある成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,住宅インテリアの基調色の白色化が居住者に及ぼす心理・生理影響的影響を評価することを目的として平成23年度~25年度までにの3年間に3つの実験を行うものである。 平成23年度はCGによる評定実験の他に,25年度の予定していた実大空間における確証実験の一部を前倒しで実施した。 平成24年度は縮尺模型による確認実験を照度レベルも実験要因として実施する予定であったが,実験室の高照度実験装置の設置に時間がかかり,500lxでの実験のみの実施にとどまった。確認実験模型における照度レベルによる違いの検証は,次年度に実施する。 このように,23年度は先取り実施が,24年度は積み残しがそれぞれあるが,全体的にはおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に予定していた,照度レベルを実験要因とした印象および許容性の評価実験を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に予定していた,照度レベルを実験要因とした印象および許容性の評価実験の実施のための費用として使用する。
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