本研究では,住宅インテリアの基調色の白色化が居住者に及ぼす心理・生理的影響を評価することを目的として,平成23年度から26年度までの4年間に4つの実験を行った。平成23年度はCGによる評定実験を行い,基調色の白色化による室内の印象および許容性の評価を行った。その結果,年齢別に白やオフホワイト色のインテリア空間に対する印象や許容性の傾向が把握できた。平成24年度は,基調色の白色化の程度と照度レベルによるリラックスの度合い,眩しさ・視覚疲労感への影響評価を行うことを目的として,縮尺模型による確認実験を行った。その結果,大きな影響を与えた要因は空間の明るさであることが確認された。また,CGによる実験では評価できない光環境を模型内に再現し,印象および許容性の評価を行えた。平成25年度は,基調色の白色化の程度と照度がリラックスの度合,眩しさ・視覚的疲労感への影響を評価することを目的として,実大実験空間において確証実験を行った。その結果,心理評価に関しては,壁色による影響が大きく,暖色系オフホワイト色で心地よさやリラックス度合を高く感じる傾向がみられた。一方,照度は評価にはあまり影響しなかった。生理評価については,暖色系オフホワイトの壁面において左脳血流の増加がみられ,リラックスして物事を考えている状態にあることが判明した。 平成26年度は,壁の色と照明光源の組み合わせによる影響を検討することを目的として1/10の縮尺模型を用いた印象評価実験を行った。その結果,光源種類の影響よりも,壁の色の影響の方が卓越していることが明らかとなった。 以上,今まで明らかにされていなかった住宅インテリアの基調色の白色化が居住者に及ぼす心理・生理的影響評価した貴重な成果が得ることができたと考える。
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