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2012 年度 実施状況報告書

農村からの庶民住生活デザイン近代化の研究

研究課題

研究課題/領域番号 23500914
研究機関青山学院大学

研究代表者

黒石 いずみ  青山学院大学, 総合文化政策学部, 教授 (70341881)

キーワードインテリア / 庶民住宅 / 近代化 / 女性 / 消費社会 / メディア / 技術 / 第二次世界大戦
研究概要

本年度は日本近代インテリアデザインに及ぼされた英国とドイツの影響について、現地のアーカイブ・資料館・図書館の調査、及び関連する領域の研究者との意見交換を行った。併せて、農村工芸振興事業のインテリアに関連する部分についても、国内の美術館や資料館の調査を行った。これらの調査の際には、同時に国際学会での論文発表も行い、できるだけ研究の位置付けと広がりの再確認を行うように心がけた。
具体的には、バウハウスの3つの校舎とその資料館を訪問し、ヴァンデ・ヴェルデとムテジウス、そしてバウハウスの初期の事業の関係性の検討を通してアーツアンドクラフツとモダンデザインの関係を確認した。またハムステッドのアーカイブ調査を行って、そのアメリカとの関係、モダンデザインの導入のされ方などを調査した。国内では濱田と河合のアーカイブを見学したが、既往研究のさらなる調査が必要である事を実感した。
これらの基盤となる歴史的調査のほかに、昭和初期から20年代までの婦人雑誌におけるインテリアに関連する記事の全体的な見直しも行い、注目すべきポイントを抽出した。それらの建築学における位置付け、あるいは建築家の住宅インテリアデザインへの貢献などについても調査を始めている。
発表した論文としては英語によるもので関連するものが2点、日本語による日本近代インテリア論考への協力が2点ある。いまだ多くの検討事項を抱えているので、全体的な方向性はまとまっていないが、カルチャラルスタディー、マテリアルカルチャー、工芸、デザイン史、生活学、建築史の其々の領域での議論の互いの関係性とその中における自らの位置付けをおぼろに自覚しつつある段階である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究対象となる資料が幅広く、テーマも幅広い為に、それらの関係性の整理と自らの目的を明確化することに多くの時間を必要としている。単純な歴史的資料の羅列ではなく、問題意識の明確なこれまでと違う視点を提示したい為である。
しかしながら、それはまた対象となるテーマの所属する学的領域が広い故でもあり、調査を進める中で、ますます明らかになる困難さでもあった。それを歴史的な事象の中に読み取り整理する過程で、中心となる問題を整理しつつ、それに関連するより広い理論的な既往研究や考察も調査し、丁寧に進んでいる。
もう一つの理由として挙げられるのは、3.11後に建築も地域学も生活学も、そしてインテリアと人間の関係についての研究も、全く新しい側面を備えつつある事があげられる。より人間の実存に関わる問題として住居が認識されるようになった。本研究にも、もちろんその影響は大きく、むしろ積極的に取り組んでいきたいと思う。従って、日本近代の住生活空間の変容における危機の問題の影響も、この研究に付け加えるべく調査を始めた。
具体的事例と歴史、学際的理論の融合という研究形態を何とかして実現すべく、その記述の仕方等についても試行錯誤をしている。既存の研究方法に頼らずに進める事が、やはり時間を要している事も要因として付け加えたい。

今後の研究の推進方策

これまでの調査の成果をまとめる事と、更に調査の対象を広げて行く事を同時進行で行う。そのためにも資料のデータ化をそろそろ行う予定である。
研究対象として、幅広く既往研究をさらい基礎的な調査対象をチェックする段階はほぼ終わったので、問題点と対象の特定を行い、更に深く調査と考察を行う予定である。特に、戦中期と戦後期の扱い方、資料収集はまだまだこれからなので、本年度はその部分を積極的に行いたい。
海外との影響関係についても、アメリカのモダンデザインやインテリアの影響についてはまだほとんど調べが及んでいない。本年度はできればその資料収集と整理、これまでの資料との関係づけを行いたい。
マテリアルカルチャーの領域におけるインテリアの研究、モダンデザイン史におけるインテリアの研究、近代建築史におけるインテリアの研究の三つの領域で論文を発表するべく努力したい。

次年度の研究費の使用計画

アメリカの西海岸と東海岸における戦前・戦中・戦後のインテリアデザインに関連する資料の収集、作品の見学を行いたいので、その出張に経費を割きたい。
また国内の戦中・戦後の資料の調べについてはまだ不十分なので、それを収集する為に仙台・弘前・京都・千葉に出張する経費が必要である。また資料収集の経費も其々必要である。
集めた資料のデータ化を試みるので、アルバイトを雇う経費も必要になると思われる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 その他

すべて 学会発表 (5件) 図書 (1件)

  • [学会発表] Invention of a national prototype house2012

    • 著者名/発表者名
      Izumi Kuroishi
    • 学会等名
      EAAC
    • 発表場所
      香港大学(香港)
    • 年月日
      20121210-20121212
  • [学会発表] Fuzoku Kenkyu and Urban Planning in the Early 20th Century in Japan2012

    • 著者名/発表者名
      Izumi Kuroishi
    • 学会等名
      IPHS
    • 発表場所
      サンパウロ大学(ブラジル)
    • 年月日
      20120715-20120718
  • [学会発表] 今和次郎における「日本の民家」の史的位置づけと新視点

    • 著者名/発表者名
      黒石いずみ
    • 学会等名
      日本生活学会大会
    • 発表場所
      大阪大学(大阪)
  • [学会発表] Cultural methodology of branding Garden City

    • 著者名/発表者名
      Izumi Kuroishi
    • 学会等名
      AJC
    • 発表場所
      ケンブリッジ大学(イギリス)
  • [学会発表] Shinjo Matsuri: Community revitalization through the construction and circulation of decorated floats

    • 著者名/発表者名
      Izumi Kuroishi
    • 学会等名
      DIJ
    • 発表場所
      上智大学(東京)
  • [図書] 『今和次郎と考現学』2012

    • 著者名/発表者名
      黒石いずみ (共著)
    • 総ページ数
      22―37、153-159
    • 出版者
      河出書房新社

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公開日: 2014-07-24  

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