研究課題/領域番号 |
23500915
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研究機関 | 実践女子大学 |
研究代表者 |
高部 啓子 実践女子大学, 生活科学部, 教授 (00206872)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 高齢女性 / 体幹部形状 / 三次元計測 / 体型の類型化 / パターン設計 / ボディ開発 |
研究概要 |
現在の日本は、高齢化率が22%を超える高齢社会であり、高齢者市場が年々拡大している。しかしアパレル生産の対象は、若年層に偏っており、衣服設計(裁断)用ボディも若年体型のものが中心に使われている。高齢者体型や子ども体型の裁断用ボディは非常に不十分な状態にある。誰もが求める衣服を手にすることができる公平性をユニバーサルデザインと考えるならば、多様な裁断用ボディの開発、衣服型紙の作図法や生産におけるグレーディング法の検討が必要である。本研究では市場で不足している高齢女性用衣服の提供に役立つ高齢女性を対象とする裁断用ボディの開発、型紙作図法やグレーディングルールにおける高齢者対処法の開発を目的としている。 平成23年度には、(1)~(7)を計画していたが、(6)の三次元画像の貼り合わせと余分な部分の削除の工程までを実施した。これは当初、基金の7割が支給されたために、計画を縮小して実施し始めたところ後から全額支給に変更になったために、計測が2回に亘ったことが、スケジュール通りに進めることができなかった大きな要因である。 平成23年度事業の実施内容は、(1)計測着の選定と発注:キャミソールとスパッツ着用に決定、胸にスイムカップをあてることとした。(2)基準点の選択とマークの検討:基準点としては16点を定め、厚みのある5mm四方シールを採用した。(3)計測項目の検討:手計測としては16項目を計測 (4)撮影方向、撮影枚数、カメラの高さや角度の検討:2台のカメラの位置と高さを決定、3回スキャンで、一人につき1姿勢6枚の画像とした。(5)三次元スキャン:60歳~70歳女性109名の体幹部を中心にスキャンした。(6)画像貼り合わせ、相同モデルの作成(一部次年度へ)である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、基金が7割支給であったために、最初の計画を縮小して2011年9月に三次元計測および手計測を実施した。その後全額支給に変更になったので、当初の計画に近づけるために2012年2月に再度計測を実施した。データを合わせる必要があり、そのために全体的に遅れを来した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は体表面展開と類型ボディの作成に向けて、(1)三次元座標値、相同モデルについて主成分分析、クラスター分析、多次元尺度法等を利用して分析し類型化を試みる。(2)試作ボディ用データの作成、(3)ボディの試作を外部発注、できあがったボディの検討、(4)平面展開の方法論の検討、(5)体幹部立体形状の平面展開、(6)各種平面作図法の収集と整理、(7)三次元画像上で体表長の計測、(8)体表長や二次元平面上の切り開き量や曲線部分の形状について、高齢女性と若年女性の比較から平面作図法における高齢女性対処法を検討する。(9)学会発表、日本家政学会第64回年次大会、日本繊維製品消費科学会2012年次大会、ITAA年次大会で研究成果を発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費に100,000円、学会発表に360,000円、人件費・謝金に100,000円、その他に1,000,000円を予定する。物品費には三次元立体を平面に展開するソフトを導入予定、旅費は海外での学会発表に支出する。人件費はデータ処理や専門的知識を得るための謝金、その他はボディ試作費用とする。
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