研究課題/領域番号 |
23500918
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研究機関 | 京都ノートルダム女子大学 |
研究代表者 |
竹原 広実 京都ノートルダム女子大学, 生活福祉文化学部, 教授 (20298706)
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研究分担者 |
清水 陽子 佛教大学, 社会学部, 講師 (70457133)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 住環境 / 過疎 / 高齢者 / 地域 / 日常生活 |
研究概要 |
長い高齢期を地域で自立して健やかに暮らすことができることは、活力に満ちた地域社会の実現にもつながる。そのためには地域独自のニーズに応じ、様々な日常的な場面に対応できるきめ細かな取り組みが必要である。当該研究は地域の独自性に着目し、「都市の過疎地」且つ「高齢化率30%以上」という特徴的な地域を事例として取り上げ、そこに居住する高齢者の日常生活行動や住環境の実態と現状に対する評価を明らかにし、高齢者の自立を妨げない住環境のあり方について、地域独自の新たなニーズを探ることを目的としている。平成23年度は、対象地域の京都市東山区今熊野地区の住環境について、基礎的情報を収集した。(経費:謝礼費、交通費、人件費、物品費)人口は約6000人、1900世帯が居住している。50歳以上人口が多い。また昼間の高齢化率は50%以上を越え、限界集落に等しい。産業について、事業所数250ヶ所であり、特に地場産業として京焼(清水焼)がありその窯元が居住する。地域の特色である地場産業が活性化することは、地域に活力を与えることに大きく貢献すると考えられる。主な交通機関は市営バスであるが、停留所は一箇所のみで地域の端にあり不便である。地域の買物環境については、店舗数は小規模なものが数店のみと、商店街があるがシャッター商店街化し活気がない。土地利用の主な用途地域は近隣商業地域、第一種中高層住居専用地域、準工業地域など混在し、山麓美観地区、風致地区、美観形成地区の指定を受けていることから住環境整備が進まない。22名(窯元関係者11名、一般住民11名)に対して半構造化インタビューを実施した。京焼の衰退を窯元自身が体感しているものの、正確な情報を把握する者は少なく、観光資源として京焼を位置づける者は当事者であってもごく僅かであり、窯元によってもその見解が異なっていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象地についての十分な現状調査の実施ができ、このことについては当初の計画以上にの進展が得られている。しかしながら、調査結果の内容について、当初予定していた研究内容を若干修正の必要を感じている。予測以上に、地域の高齢化率が深刻化していることと、住民の間でも意識に差があり、地域住民全体として意識の統一はみられなかったものの、今後の地域のあり方について大きく危惧していることが明らかとなった。そのため、今後の研究の推進方策について軌道修正する必要があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の実施結果を7月に国際家政学会にて発表をする予定である。また、当初の計画では、次年度については、生活行動量の計測調査を行う予定であったが、本年度の基礎調査結果内容を踏まえ、若干の変更修正を行う。まず、地区住民に対して、住環境に対する満足度と要望のアンケート調査を当該地区全世帯を対象に実施し、統計的に高齢者及び高齢者予備群の住環境に対する要求を把握する。
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次年度の研究費の使用計画 |
国際家政学会(メルボルン)発表に伴う学会参加費、旅費、翻訳費などを予定している。また新たに、当該地区2000世帯に対してアンケート調査を実施する。そのための、印刷代、返信用の郵送料、謝礼、調査実施協力のアルバイト代、並びに、分析用PC及び、統計ソフトの購入費用を追加予定している。
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