長い高齢期、地域で自立し健やかに暮らすことができることは、活力に満ちた地域社会の実現につながる。地域独自のニーズに応じた自立を妨げない住環境のあり方について近年増えつつ都市の過疎地を対象として取り上げた。2011年度は対象地住民にインタビュー調査を実施し地域産業と住環境について地域独自のニーズを探った。この結果は2012年7月に国際家政学会(IFHE)で報告した。2012年度は同地域2000世帯に質問紙を用、住環境評価を調査した結果、地域に対するニーズや要望は世代によって、また高齢者でも独居世帯か否かにより重視する要望が異なる傾向がみられ、「身近な公園や広場の整備・充実」に対する要望は独居高齢者に強くみられた。これらの結果は2013年5月に日本家政学会で発表報告した。屋外設備に対する要望が高かったことから今年度は主に屋外での過ごし方(外出行動)に着目し、高齢者の外出の実態を把握する調査を実施した。前年度と同じ地域での調査が望ましいが困難であったため、「地区外への移動手段が少ない」といった特徴が類似するK地区を対象とし、地区に居住する高齢女性10名を対象者として調査を実施した。調査は対象者に3次元加速度計を携帯させ、48時間の生活行動量を測定すると同時に、対象者自身による日記形式の生活行動記録により日常生活を量的に把握した。またその間、外出の際はGPS端末の携帯を義務付け、外出時の行動を把握した。調査結果より、対象者は「外出」と「家事」に多く時間およびエネルギーを割いていることが確認され、「外出」時間が長いライフスタイルの対象者は一日の身体活動量の総量は大きい。外出先の多くは自宅から近い場所であった。外出活動量と行動範囲、移動距離との間に関連はなく、行動範囲や移動距離は外出時間を介して外出活動量と関連している可能性が示唆された。調査終了後調査協力者に対し結果報告を実施した。
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