研究課題/領域番号 |
23500923
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研究機関 | 大妻女子大学短期大学部 |
研究代表者 |
土肥 麻佐子 大妻女子大学短期大学部, 家政科, 准教授 (60553542)
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研究分担者 |
増田 智恵 三重大学, 教育学部, 教授 (60132437)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 人体の3次元形状計測 / 衣服設計 / 体型 / 既製服 / 衣生活 / 相同モデル / カスタマイズ / オンデマンド |
研究概要 |
消費者の好みのデザインの量産服を、デザインイメージをかえることなく安価にオンデマンドにカスタマイズすることができる「量産衣服用デジタル仮縫い工房」の開発を最終目標に、個人の身体の3次元形状を簡単に推定することができるシステムの開発を目的とする。 まず日本人女性の体幹部3次元形状を、直接衣服パターンに展開することができるように、衣服の着装状態を想定した凸閉包形状に置き換えてモデル化したデータベースを作り、次に3次元計測をすることなく、各自の凸閉包3次元形状を推定するシステムを検討する構想である。今年度は身体の3次元形状を凸閉包形状に置き換えてモデル化するための研究を行った。 当初の予定では、20―30歳代の成人女性被験者50名の3次元形状計測を行い、東レACS社製衣服着せつけ専用ボディ自動生成ソフトを用いて凸閉包モデルを作成する予定であった。しかし検討の結果、当該ソフトでは解析に用いることができる精度の凸閉包形状が作成できないことがわかった。そこで予定を変更し、上半身を対象に体幹部の凸閉包形状を作成して相同モデル化するためのソフトを開発した。ブラウスなどの上衣を想定したものである。産業技術総合研究所デジタルヒューマン工学研究センターで公開している人体の3次元計測データを用いて開発したソフトの有効性を検討した結果、かなり精度の高い体幹部上半身の凸閉包モデルを作成することができた。 また、分担研究者の増田と共に、20-21歳の女性6名を対象に、三重大学で使用している3次元形状計測装置を用いた計測を行い、衣服設計に活用できるランドマークの付け方や計測ポーズについての検討を行った。大量計測のプロトコル作りに活用する予定である。 3次元形状データを衣服パターンに展開するための準備として東レACS社製CADソフトの整備にも着手している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東レACS社製衣服着せつけ専用ボディ自動生成ソフト「Nexsa Torso II」を用いて人体の凸閉包モデルを作成して体形分類をする予定であったが、検討の結果、解析に用いることができる精度の凸閉包形状が作成できないことがわかったことによる。 そこで新たに、ブラウス等を想定し、体幹部上半身を対象にした人体の凸閉包モデルを作成するためのソフトを開発した。ソフトの有効性も検討し、上半身体感部についての凸閉包モデルを作ることが可能となったが、多人数を相同モデル化してを解析し、体形分類する段階まではすすめることができなかったため、やや遅れていると評価した。 また、ソフトの開発と併行して人体の大量計測を行うことは困難であったため、今年度は被験者6名を対象にした予備実験としての計測を行い、衣服設計に有効な計測プロトコルを検討する段階に留めたことも理由の一つである。この点については、研究の方向性が適当かどうかを調べることが先決と考え、まず産業技術総合研究所デジタルヒューマン工学研究センターで公開している人体の3次元計測データを用いて検討をすすめることを考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度開発した「上半身の体幹部用凸閉包モデル作成ソフト」を用いて、産業技術総合研究所デジタルヒューマン工学研究センターで公開している女性50名の3次元計測データおよび平成23年度に計測した6名の上半身を相同モデル化して統計解析し、凸閉包モデルの体形分類を行う。今回の研究方法が量産衣料の仮縫い工房に適しているかどうかを調べることを優先した方が適切と判断したため公開データを使用することとした。併行して、新たに3次元形状計測を行い被験者数を追加する予定である。また衣服設計に結びつく体型分類とするため、凸閉包モデルを部位にわけた検討を行うことも考えている。 また、今回のソフト開発結果より、ブラウス用、ジャケット用など服種別にゆとり量を加えた凸閉包モデルを作成することが量産衣料の仮縫いには必要と考えた。そこで解析部位を体幹部上半身にしぼり、胸囲やウエスト囲にゆとりを加えた凸閉包モデルを作成することができるソフトの開発にとりくむ予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の予定を変更し、ソフト開発のための費用として「その他」の研究費を多く使用し、「謝金」「設備費」などの使用を少なくしたため、37000円程度の差額が生じた。 次年度についても、ソフト開発費用、謝金、三重大学で計測および打ち合わせや研究成果発表のための旅費、データ処理用費用、消耗品等に研究費を使用する予定である。
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