天ぷらの調理法は非常に困難で、非熟練者がおいしく揚げることは難しい。天ぷらのおいしさの要素として衣のさくみがあるが、おいしい衣を作るためのメカニズムは詳しく解明されていない。その理由の一つに、油中における衣形成のリアルタイム観測の難しさが挙げられる。そこで、画像処理技術を用いて衣形成過程を解析した。さらに、できあがりの衣の形状特徴についても画像解析し、天ぷらをおいしく揚げるための要因を画像処理結果と調理科学的知見に基づいて明らかにした。 調理過程解析では、水分蒸発量の推移、油面の泡立ちの画像特徴抽出とその推移の評価を行った。できあがり評価では、衣の透過照明画像による凹凸の定量的テクスチャ解析、さくみ評価のために破断解析を行った。また、できあがりについて官能検査を行った。 実験は天ぷらを揚げる上で一般的に適温とされている180度、低温とされる160度、高温とされる200度についてそれぞれ撮影を行った。それ以外の条件は全て統一した。 調理過程における気泡による油面の泡立ち解析には同時共起行列を用い、Contrast特徴を用いることで時系列的に評価できることを確認した。 また、できあがりのころも評価についても同時共起行列を用いたテクスチャ解析と、破断解析の結果をPLS回帰分析(Partial Least Squares回帰分析)を用いることで、破断解析をすることなく高い相関で推移できることを確認した。
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