研究課題/領域番号 |
23500927
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
高村 仁知 奈良女子大学, 生活環境学部, 准教授 (70202158)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | インドネシア / 食素材 / 機能性 / 嗜好性 / melinjo |
研究概要 |
植物資源の宝庫であるインドネシアにおいて、現地で利用されているが国外では広く流通していない植物性食素材として、グネツム科グネモン(Gnetum gnemon L.)の果実melinjoを選び、その機能性を活かし、日本人の食生活に受け入れられる新規食品および調味料を開発するとともに、その調理法を提言することを目的として研究を遂行中である。 平成23年度は、melinjoを試料として、抗酸化性を世界的に広く用いられているORAC法で測定するとともに、melinjo特有のポリフェノールであり、各種の機能性が報告されているグネチンCおよびその配糖体グネモノシドA・Dについて測定を行った。また、melinjoからカラムクロマトグラフィー法により、グネチンC、グネモノシドA・Dを分画することを試みた。また、melinjoは単独ではやや苦味を呈するが、この苦味がどの成分に由来するのかを官能検査を用いて評価した。 その結果、melinjoは高い抗酸化性を有すること、この高い抗酸化性はグネチンCおよびその配糖体グネモノシドA・Dに由来することが明らかとなった。また、固定相に芳香族系合成樹脂SP70、移動相にエタノール水溶液を用いたカラムクロマトグラフィーにより、グネチンC、グネモノシドA・Dを分画することが可能であった。また、官能検査を行った結果、グネチンCおよびグネモノシドA・Dはいずれも苦味を呈すること、グネチンCの苦味閾値はナリンギンと同程度の0.16mM、グネモノシドA・Dの苦味閾値はカフェインと同程度の0.47mMであった。これらの機能性成分は苦味を併せて有することから、その利用法に工夫が必要であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初より遅れている点として、現地調査を行うことができなかった点があげられる。これは現地調査に同行する予定であった大学院学生が育児のため休学したため、スムーズな現地調査が望めなくなったためである。これについては、平成24年度後期の復学をもって実施が可能となる見込である。 逆に当初より進んでいる点として、メリンジョの有効成分をカラムクロマトグラフィーで分画した上で、抗酸化性と嗜好性を測定できた点があげられる。
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今後の研究の推進方策 |
1.melinjoについて、機能性および嗜好性を活かした食品および調理への応用を検討する。melinjoを利用した食品・料理等として、チップス・お茶・ソース等があげられる。また、調味料に加えることで風味改良剤として用いることができる可能性がある。様々な食品・料理にmelinjoを添加することによる機能性の向上について解析すると共に、呈味効果(風味増強)、減塩効果、矯臭効果等について官能検査、におい分析等により解析する。2.第1回現地調査において、植物性食素材の収集等を行う。ジャワ島において植物性食素材の収集、およびその利用に関する調査を行う。また、melinjoと同様に、現地収集試料の機能性・嗜好性を解析し、成分分析を行い、さらに機能性および嗜好性を活かした食品および調理への応用を検討する。3. melinjoおよび現地収集試料について、食品・調味料の開発・商品化を行う。これまでの結果を踏まえ、melinjoおよび現地収集試料について、機能性および嗜好性を活かし、日本人の食生活に受け入れられる食品・調味料の開発・商品化を行うと共に調理法の提言を行う。「23年度未使用の研究費が生じた状況」:これは現地調査に同行する予定であった大学院学生が育児のため休学したため、スムーズな現地調査が望めなくなったことにより、予定していた現地調査を延期したためである。24年度は現地調査を実施し、未使用分の研究費を現地調査にかかる外国出張旅費および現地収集試料の分析等にかかる消耗品費として使用する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
「23年度未使用の研究費と併せた研究費の使用計画」:物品費として、melinjoおよび現地収集試料の機能性および嗜好性測定に必要な消耗品(GCおよびHPLCカラム、試薬類,その他)150万円、旅費として外国出張旅費(海外学会発表および現地調査)50万円、国内旅費10万円、人件費・謝金として実験補助20万円程度を見込んでいる。
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