研究課題/領域番号 |
23500927
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
高村 仁知 奈良女子大学, 研究院生活環境科学系, 准教授 (70202158)
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キーワード | インドネシア / 食素材 / 機能性 / 嗜好性 / melinjo |
研究概要 |
植物資源の宝庫であるインドネシアにおいて、現地で利用されているが国外では広く流通していない植物性食素材として、グネツム科グネモン(Gnetum gnemon L.)の果実melinjoを選び、その機能性を活かし、日本人の食生活に受け入れられる新規食品および調味料を開発するとともに、その調理法を提言することを目的として研究を遂行中である。 平成24年度は、魚の生臭さを抑制する調味料の開発を目的として、melinjo抽出物の添加によるにおい成分および嗜好性の変化を検討した。マサバを試料とし、種々の濃度のmelinjo抽出物を加えた調味液に浸漬後、加熱調理を行い、SPME法により抽出した揮発成分をGCおよびGC-MSで解析した。また、官能検査により嗜好性の差異を解析した。その結果、魚の調理加工において、melinjo抽出物が脂質酸化およびオフフレーバーの生成を抑制できることが明らかとなった。特にグネチンCよりもmelinjo抽出液の方が抑制効果が高いことから、配糖体の寄与が示唆された。 さらに、melinjo粉末を用いた菓子の作成を試みるとともに、その機能性、嗜好性について検討した。HPLCを用いて菓子中のグネチンC量を定量するとともに、ORAC法により抗酸化活性を測定し、それらの機能性を評価するとともに、官能検査にて嗜好性を評価した。その結果、加熱により、グネチンC量および抗酸化性が減少すること、油を用いた揚げ調理では,苦味がマスキングされることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初より遅れている点として、現地調査を行うことができなかった点があげられる。これは現地調査に同行する予定であった大学院学生が育児のため休学したため、スムーズな現地調査が望めなくなったためである。これについては、平成25年度の復学をもって実施が可能となっている。 それ以外はおおむね順調と言える。
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今後の研究の推進方策 |
1.melinjoについて、機能性および嗜好性を活かした食品および調理への応用を検討する。melinjoを利用した食品・料理等として、調味料・菓子等があげられる。また、調味料に加えることで風味改良剤として用いることができる可能性がある。様々な食品・料理にmelinjoを添加することによる機能性の向上について解析すると共に、呈味効果(風味増強)、減塩効果、矯臭効果等について官能検査、におい分析等により解析する。 2.現地調査において、植物性食素材の収集等を行う。ジャワ島において植物性食素材の収集、およびその利用に関する調査を行う。また、melinjoと同様に、現地収集試料の機能性・嗜好性を解析し、成分分析を行い、さらに機能性および嗜好性を活かした食品および調理への応用を検討する。 3. melinjoおよび現地収集試料について、食品・調味料の開発・商品化を行う。これまでの結果を踏まえ、melinjoおよび現地収集試料について、機能性および嗜好性を活かし、日本人の食生活に受け入れられる食品・調味料の開発・商品化を行うと共に調理法の提言を行う。商品化に際しては、食品添加物・風味調味料等の製造販売を行っている「ホソダSHC」(福井市)の協力を得る予定であり、すでに打ち合わせを行っている。 「24年度未使用の研究費が生じた状況」:これは現地調査に同行する予定であった大学院学生が育児のため休学したため、スムーズな現地調査が望めなくなったことにより、予定していた現地調査を延期したためである。25年度は現地調査を実施し、未使用分の研究費を現地調査にかかる外国出張旅費および現地収集試料の分析等にかかる消耗品費として使用する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
「24年度未使用の研究費と併せた研究費の使用計画」:物品費として、melinjoおよび現地収集試料の機能性および嗜好性測定に必要な消耗品(GCおよびHPLCカラム、試薬類,その他)70万円、旅費として外国出張旅費(現地調査)30万円、国内旅費(学会発表・研究打合せ)15万円、人件費・謝金として実験補助20万円程度を見込んでいる。
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