植物資源の宝庫であるインドネシアにおいて、現地で利用されているが、国外ではあまり流通していない食素材として、グネツム科グネモン(Gnetum gnemon L.)およびイイギリ科パンギノキ(Pangium edule Reinw.)を選び、その機能性を活かし、日本人の食生活に受け入れられる新規食品の開発を目的として、研究を遂行した。 平成26年度は、グネモンの種子「メリンジョ」を世界的に広く食されているパンに応用し、その活用を試みた。メリンジョは炭水化物約70%、タンパク質約12%を含有し、グネチンCなどのポリフェノールを含んでいるが、口内に残る特徴的な苦味を有する。このメリンジョの粉末を種々の割合で食パンの材料に加え、焼成した食パンの膨化性の測定および官能評価を行った。また、機能性として、総ポリフェノールをFolin-Ciocalteu法にて定量するとともに、抗酸化活性をラジカル吸収能(ORAC)にて評価した。 その結果、メリンジョを添加することにより、総ポリフェノール量および抗酸化活性が高まった。また、パンに加工することによるこれら機能性成分の有意な損失は見られなかったが、メリンジョを添加することで膨化性が著しく減少した。しかし、小麦タンパク質粉末を添加し、グルテン量を強力粉よりも高レベルとすることで膨化性が改善された。メリンジョを30%添加した食パンは小麦粉パンにやや劣る程度の嗜好性を示し、また、高い機能性を示した。
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