研究課題/領域番号 |
23500931
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
望月 聡 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (80210087)
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研究分担者 |
小田 裕昭 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (20204208)
山田 耕史 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (00253469)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | コレステロール代謝 / タイワンシジミ / 脂質画分 / 構造決定 / マイクロアレイ / 遺伝子発現 |
研究概要 |
タイワンシジミの熱水抽出物の脂質画分について、各種溶媒分配、各種カラムクロマトグラフィーを繰り返し行うことによって、活性フラクションから、その主成分を分離し、各種スペクトルデータ(1H-NMR, 13C-NMR, HR-FABMS)を解析することによって、その構造を明らかにすることができた。更に、一部をHPLCで繰り返し精製することによって、主成分を単離することができた。更に詳細にFAB-MSスペクトルデータを解析することによって、主成分の構造を決定することができた。現在、主成分の活性の有無を検討するため、分取 HPLCを用いて、更に大量に主成分の単離を行っている。 タイワンシジミ抽出物をクロロホルム・メタノール混液で抽出した脂質画分をさらにシリカゲルカラムにて分画した画分をラットに与え、血清コレステロール低下作用を確認した後、これを与えた動物の肝臓からRNAを抽出した。その画分の摂取による遺伝子発現変動に与える影響を解析する前に、脂質画分で何が起きたかについて、マイクロアレー解析を行い、そのバイオインフォマティクス解析を行った。脂質画分では、コレステロール異化代謝の促進だけでなく、顕著な脂肪酸合成酵素系の抑制がみられた。これらの遺伝子を制御するSREBPの関与が示唆されたが、SREBPの遺伝子発現に顕著な影響がなかったことから、タイワンシジミ抽出物の脂質画分はSREBPのタンパク質のプロセッシングに作用することが示唆された。脂質画分のサブ画分においては、血清コレステロール濃度の低下とコレステロール異化代謝の律速酵素であるCYP7A1の遺伝子発現の誘導と関係が深いことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究によって、タイワンシジミ熱性抽出物の脂質画分には強力なコレステロール低下作用を有する物質が含まれていることが明らかにされている。本研究は、脂質画分に含まれる活性物質を単離同定することと、その作用機構を解明することが目的である。 活性物質については、主成分を単離同定することにより、その構造を決定することができた。本年度は、活性物質を大量に調製して動物に与えて、その評価を行うことを目的としたが、構造決定に時間を要し、活性物質の大量調製までには至らなかった。 また、脂質画分のコレステロール低下作用をもたらす作用機構について、マイクロアレイ解析ののち、関与する遺伝子発現変動を検討することによって、コレステロールの異化が促進していることが明らかとなり、作用機構の解明については、当初予定した計画が順調に推移した。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度において、活性物質をラットに与えてラットに与えてコレステロール低下作用を確認する計画であったが、これを実施することができなかったので、繰り越した研究費を用いてその検討を行う。そのために、活性物質を大量に調製する作業を早急に進める。その後、動物実験によって活性成分の作用を詳細に明らかにするために、血清脂質、肝臓脂質、糞中脂質などを詳細に検討する。 動物の肝臓からRNAを抽出して、遺伝子発現の変動を検討することにより、その作用機構を解明する。 また、平成23年度の研究によって明らかにされた活性物質以外に新たな活性物質が存在するか否かについての検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
活性物質を大量に調製するために必要な器具および試薬を購入する。詳細な動物実験を行うために必要な実験動物、飼料および血清、肝臓、糞中の脂質を定量するために必要な器具及び試薬を購入する。また、作用機構を解明するために必要な器具及び試薬を購入する。一部の分析については外部委託にて実施する。 研究成果の打ち合わせと、学会発表に必要な旅費を使用する。 さらに、成果発表の手段として、学術論文等で発表することとし、投稿に必要な費用を手当てする。
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