研究課題/領域番号 |
23500931
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
望月 聡 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (80210087)
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研究分担者 |
小田 裕昭 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (20204208)
山田 耕史 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (00253469)
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キーワード | コレステロール代謝 / タイワンシジミ / 脂質画分 / 構造決定 / 遺伝子発現 / タンパク質画分 |
研究概要 |
脂質画分に含まれる活性成分であると考えられるセラミド-1-リン酸アミン全合成のための、高立体化学選択的セラミドコア部分の構築を行った。現在、L-serine を出発物質として、グリニヤル反応等を用いて塩基部のアルキル鎖の延長に取り組んでいる。TLC量を用いた予試験では反応性良く進行しているが、グラムオーダーの合成になると原料回収が多くなり現在スケールアップの条件検討を行っている。 脂質画分を9画分に分けたサンプルの中で、血中コレステロール濃度を低下させる作用のある画分が2つあった。その2つの画分をさらに4つの画分に分画したものをラットに与えた実験の解析を進め、細かく分けてきた画分にどのような遺伝子を動かす作用があるかについて検討を行った。8つのサブ画分の中で一部に血中コレステロール低下作用が認められたものの、肝臓遺伝子発現に顕著な影響を認めることができなかった。コレステロール異化代謝の律速酵素であるCYP7A1についても顕著な影響が見られず、再度RNAの抽出から検討する必要があると考え、現在実験を始めている。 動物実験によって、脂質画分の他に、シジミ抽出液から得たタンパク質画分にも血清コレステロール低下作用が存在することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の研究によって活性成分の構造が明らかになったことから、本年度は活性成分の大量調製を試みた。合成段階の一部の反応を決定するのに時間を要したが、現在合成方法をほぼ確立できたことから、大量調製を本格的に進めることとした。 活性物質の作用機構の解明を行うため、肝臓遺伝子発現を中心として検討を行った。想定された遺伝子発現について、当初期待したほどの変動が見られなかったことから、再度実験条件を整備して検討を行うこととした。 動物実験によって、タイワンシジミ抽出物の脂質画分以外に、タンパク質画分にもコレステロール低下作用が存在することが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
脂質画分に含まれる活性成分の合成については、種々反応条件を検討しつつ、アルキル鎖長の延長、脂肪酸の結合とリン酸化を行う計画である。 シジミ抽出液の脂質画分のサブ画分の肝臓遺伝子発現に与える影響を、再度RNAを抽出して検討する。次に、サブ画分をさらに細かく分画した サブサブ画分についても遺伝子発現の変動をリアルタイムPCR法により検討する。これにより、最終的に得られた化合物の作用点を明らかにする ことができると考えている。 活性成分の大量合成が終了したのちは、これをラットに与えてコレステロール低下作用を検討する。併せて、タイワンシジミ抽出液のタンパク質のコレステロール低下作用についても、作用機構の解明などの検討を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
活性成分を大量に調製するために必要な反応試薬と各種有機溶媒を購入する。また、肝臓遺伝子発現への影響を検討するため、必要な試薬等を購入する。合成によって得られた活性成分のコレステロール低下作用を明らかにするために動物実験を実施する。この動物実験のために、実験動物、資料および血清・肝臓・糞中脂質を定量するために必要な試薬を購入する。一部の分析については外部委託によって実施する。 研究成果の打ち合わせと、学会発表に必要な旅費を使用する。 さらに、成果発表のため、学術論文に投稿する費用を使用する。
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