研究課題
タイワンシジミの熱水抽出物 2.5kg の脂質画分から単離し、構造が明らかになったceramide phosphoramidate成分の全合成を行うために、合成ルートを検討し、大量合成に着手した。まず L-Serine を出発原料として、セラミドコア部分を合成し、長鎖塩基部分の構築、続いて、脂肪酸の結合に着手している。現在、長鎖塩基の構築後、脱保護基の反応等の際、異性化を含め、生成物が変化していることが判明し、より高効率に目的物を得るために、反応条件等を検討中である。大量合成における、脱保護等が効率的に進行する条件が解れば、その後脂肪酸の付加とリン酸化反応を行う予定である。タイワンシジミ抽出物をクロロホルム・メタノール混液で抽出した脂質画分にコレステロール低下作用を見つけ、その原因脂質を探索してきたが、タンパク質画分にもその効果があることを見いだしている。そこで、その両画分の肝臓遺伝子発現に与える影響を検討したところ、両画分ともCYP7A1遺伝子発現を誘導した。脂質画分は、脂肪酸合成などの中性脂質代謝にも大きく影響を与えることがわかった。一方、タンパク質画分はアミノ酸代謝に影響を与えることがわかった。体重増加量からタンパク質画分に含まれるタンパク質含量が十分であることがわかるが、タンパク質量が少ないときに応答するセリン代謝酵素系に変動が見られた。タンパク質画分のアミノ酸組成に特殊性は見られていないが、再度検討する必要がある。これらのことから、シジミ抽出物の主要構成成分であるタンパク質、脂質の両者にコレステロール代謝を改善作用はあるが、それ以外に脂質画分は中性脂肪代謝を、タンパク質画分はアミノ酸代謝を変動させることでシジミ抽出物に表れる作用を発揮していることが明らかとなった。
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