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2011 年度 実施状況報告書

含蜜糖の食品機能成分の分析とそれらのストレス緩和効果

研究課題

研究課題/領域番号 23500932
研究機関琉球大学

研究代表者

和田 浩二  琉球大学, 農学部, 教授 (50201257)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードサトウキビ / 黒糖 / 香気成分 / ワックス / ポリコサノール / ストレス緩和
研究概要

黒糖に代表される含蜜糖は、サトウキビ由来の多くの有用成分を含んでいる。本研究では新たな機能性成分としてサトウキビ表皮部のワックスに着目し、その成分組成や主要成分の含量について分析を行う。一方、黒糖の独特な香りは品質因子として重要であるとともに、近年注目されているストレス緩和効果等に寄与する揮発性成分を多く含んでいる可能性がある。本研究では、黒糖の香りプロファイルを明らかにするとともに、その香りの機能性の評価を行う。最終的には、これらの研究を通して食生活での機能性もつ甘味資源素材の開発へつながる知見を得る。本年度の具体的な研究成果は以下の通りである。〇ワックス成分の分析 サトウキビ由来のワックス抽出物をGCおよびGC-MSを用いて分析した結果、高級脂肪族アルコール(ポリコサノール)としてC22からC30の5成分、さらにC26からC30の3成分の長鎖アルデヒドの存在を確認し、個々の成分を定量した。さらに沖縄で生産されているサトウキビ品種やその生育期で含量に差があることが明らかとなり、黒糖での含量に大きな影響を及ぼすことが示唆された。これらの結果は、国際誌(European Journal of Lipid Science and Technology, Vol.114 (2012))に印刷中である。〇香り成分の分析 黒糖の香気成分分析法としてスタティックヘッドスペースガス分析(HSG)法、固相マイクロ抽出(SPME)法および高真空香気蒸留(SAFE)法を設定した。これらの手法を用いて黒糖の香気成分を分析した結果、HSG法およびSPME法は低沸点から中沸点成分、SAFE法は中沸点から高沸点成分を分析でき、3手法を組み合わせることにより黒糖の香気成分組成を詳細に分析できることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は大きく2つのテーマからなる。それぞれの達成状況は以下の通りである。〇ワックス成分の分析 本年度はオクタコサノールを含めたポリコサノールの定量と組成分析を行う予定であったが、分析が順調に進み、次年度に計画していた長鎖アルデヒドの定量と組成分析も行うことができた。また、サトウキビ品種やその生育期での含量も比較でき、論文としてまとめることができたことから、計画以上に進捗していると考える。〇香り成分の分析 本年度予定していた黒糖の香りの分析法は、3つの手法として確立することができた。一方、香気成分についてはGC-MSを用いてある程度同定できたが、官能的に重要な成分や量的に重要な成分まで明らかにすることはできなかった。したがって、やや遅れていると考える。

今後の研究の推進方策

本研究のテーマごとの今後の研究の推進方針は以下の通りである。〇ワックス成分の分析 サトウキビワックス中のポリコサノールおよび長鎖アルデヒド以外の成分組成やその含量について、HPLCを用いて明らかにする。また、黒糖の製造工程糖液(搾汁液、清浄汁、シラップ)や製品でのポリコサノールおよび長鎖アルデヒドの動向について分析を行う。さらに、最近ポリコサノールおよび長鎖アルデヒドについて新たな機能性として抗疲労効果との関連が報告されていることから、文献値等との比較を行う。〇香り成分の分析ならびにその機能性の評価 本年度に設定した黒糖の香気成分の分析法とGCやGC-MSの定量・同定結果から、量的に主要な成分や官能基ごとの香りへの寄与を解析し、種々の銘柄の黒糖の香気プロファイルを明らかにする。特にGC-MSでの香気成分の同定を迅速に進める。また官能基ごとの香りへの寄与の解析では、必要に応じてGC-においかぎ分析を併用する。さらに、黒糖の香りのストレス緩和効果の評価を行うにあたり、ストレスマーカーの設定やELISA法等による予備分析を行う。

次年度の研究費の使用計画

本研究のテーマごとの次年度の研究費の使用計画は以下の通りである。〇ワックス成分の分析 消耗品費としては次年度の研究計画に従って、HPLC分析やGC分析での試薬、溶媒、ガラス器具、ガス等の購入を予定している。また本年度にアクセプトされた論文の別刷りに使用する。〇香り成分の分析ならびにその機能性の評価 消耗品費としては次年度の研究計画に従って、香り成分の分析についてはGCおよびGC-MS分析での試薬、固相抽出充填剤、ガス等、また機能性の評価についてはストレスマーカーに関連するキットや消耗品の購入を予定している。 その他として、資料収集(沖縄県離島)と国内学会参加(日本食品保蔵科学会、日本食品科学工学会)を予定している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Wax, policosanol and long-chain aldehyde of sugarcane (Saccharum officinarum L.) of different cultivars2012

    • 著者名/発表者名
      Yonathan Asikin, Makoto Takahashi, Naoto Hirose, Kensaku Takara, Koji Wada
    • 学会等名
      日本農芸化学会
    • 発表場所
      京都女子大学
    • 年月日
      2012年3月23日
  • [学会発表] 黒糖中の3-DG(3-Deoxyglucosone)の定量2011

    • 著者名/発表者名
      玉城 一,大城里奈,水 雅美,河合俊和,佐々木重夫,高良健作,和田浩二
    • 学会等名
      日本食品科学工学会
    • 発表場所
      東北大学
    • 年月日
      2011年9月11日

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公開日: 2013-07-10  

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