研究課題
平成25年度は含蜜糖の機能性として,糖蜜抽出物に対するラジカル消去活性と抗酸化物質の単離や構造解析を行った。また,黒糖のストレス緩和効果について、被験者のアンケートによる心理学的評価と生化学的評価を実施した。平成23~25年度の研究成果の概要は以下の通りであり,本研究により食生活での機能性をもつ甘味資源の開発へつながる基礎的な知見が多く得られた。○機能性成分の分析:種々のサトウキビ品種のワックス組成とその含量ならびにポリコサノールと相当する長鎖アルデヒドを分析した結果,最も主要な構成成分はアルデヒドとステロールエステル,次いでポリコサノールであった。また,ワックスの組成や含量はサトウキビの品種,部位および生育ステージの影響を大きくうけることを明らかにした。一方,サトウキビ糖蜜の分画物の抗酸化活性を,ラジカル消去活性試験,細胞内抗酸化試験およびDNA損傷抑制試験により評価するとともに,抗酸化活性をもつ10個のフェノール化合物を単離・同定した。○香気成分の分析:黒糖の貯蔵に伴う香気成分およびメイラード反応生成物(MRPs)の変化を分析した。その結果,貯蔵に伴いカルボン酸や含硫化合物由来のにおいは消失し,MRPs由来のこおばしい香りが増加することが明らかとなった。また,貯蔵に伴う黒糖の色調の褐色化とMRPsの生成には高い正の相関があることを確認した。○ストレス緩和効果の分析:ヒトにおけるストレス負荷試験の検討を行うとともに,黒糖のストレス緩和効果を心理学的および生化学的観点により検証した。その結果,ストレスを受けた後の黒糖の摂取では,精神的な情動を低下させる効果は低く,唾液中ストレスマーカーにおいても変化を示さなかった。一方,ストレスを受ける前の黒糖の摂取は,精神的にも生理的にも外部からのストレスの感受性を低下させ,ストレス緩和効果を示すことが示唆された。
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Food Chemistry
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