研究課題/領域番号 |
23500934
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
伊與田 浩志 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10264798)
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研究分担者 |
杉山 久仁子 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (30279799)
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キーワード | 過熱水蒸気 / スチームオーブン / 数値計算 / 加熱調理 / 大量調理 / 給食経営管理 / 水蒸気モル分率 / 測色 |
研究概要 |
水蒸気を加熱媒体として用いる加熱調理装置として、大量調理の分野でスチームコンベクションオーブンが広く利用されている。しかし、動作モードなど加熱条件を設定する際、装置構造や加熱原理の理解が不十分なまま、操作マニュアルや経験的な判断に頼ることが多い。そこで本研究では、オーブンの構造と自動制御の機構を明らかにし、加熱中の食材の温度、質量、色、オーブン庫内の温度、風速、湿度(水蒸気モル濃度)の測定及びシミュレーションソフトウェアにより、庫内で起こっている熱・物質移動現象や加熱機構を解明し、これらの手法と結果をわかり易く紹介することで、スチコンの利用技術を向上させることを目的とした。 最終年度は、前年度までに得られたと実験や計算結果に基づいて、機械工学、調理学、給食経営管理など、多面的な視点からスチコンを解説するための小冊子を、研究分担者、連携研究者、研究協力者らと共に制作し、関連分野の技術者・研究者、管理栄養士養成校や調理現場スタッフを中心に配布した。また本冊子の内容は、初年度から進めてきた、装置全体(構造,制御)と庫内の状態を数値計算により予測するためのモデルの理解にも役立つよう意識した。 本研究では、スチームオーブンと呼ばれているにもかかわらず、これまで測定されることが無かったオーブン庫内の水蒸気量(水蒸気モル分率)を重要なパラメータとして取り扱い、実測・数値計算を行うことで、種々の加熱条件下において食材に与える水蒸気の効果(温度、タンパク質の熱変性、水分量変化など)を示すことができた。また実際の庫内の水蒸気量は、加熱モードや機種(構造や制御方法)等によって大きく異なることを示した。今後、引き続き小冊子の改訂作業、ソフトウェアの改良と配布を行いながら、オーブンの更なる高性能化と、水蒸気量が食品に与える影響の解明等、調理における水蒸気の利用技術の向上のための取り組みを継続する。
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