研究課題
野生種(日本晴)およびその変異体米(イネスターチシンターゼ(SSI、SSIIIa)、デブランチングエンザイム(PUL))の4種の米澱粉の特性を明らかにするために、変異体米のアミロペクチン構造の詳細な分析と分子量の測定、糊液のレオロジー測定および、官能評価のための用語の収集と解析を行った。その結果、野生種に比べてSSIIIa変異体は胚乳内のアミロプラストが不規則であり、内部の澱粉粒の分布においても規則性が低かった。しかし、SSIおよびPUL変異体は野生種と顕著な違いが見られなかったことから、SSIIIaは澱粉合成のみならず、胚乳形成過程においても重要な影響をおよぼしていることが示された。SSIIIa分離澱粉は構造および糊液の粘弾性ともに顕著に異なり、特に低粘度性を示したが、水分散系である糊液中の自由水の緩和時間を経時的に測定したところ、T2は糊化後数分の間で顕著に長くなり、分散直後の変化が、他の澱粉とは異なることが示された。さらに、酵素分解性も低下したことから、再結晶が顕著であることが示された。一方、PULの構造変化はわずかであったが水分散性が異なったことから、アミロペクチンのへリックス構造の違いが示唆された。主観的な評価として官能評価の用語の収集と分類・解析を行い体系化した。変異体米はレオロジー特性を顕著に変化させることが可能で、分離澱粉の利用性は高いが、主食である炊飯米としての嗜好性を充足するためには、調理加工適性の検討が必要である。
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