研究課題/領域番号 |
23500938
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
藤井 恵子 日本女子大学, 家政学部, 准教授 (20186480)
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研究分担者 |
藤井 智幸 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40228953)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | アマランサス / パン / 物性 / 官能評価 / 雑穀 / 製パン性 |
研究概要 |
【目的】日本人に不足しがちなミネラルや食物繊維を豊富に含む雑穀が、近年注目されている。また、食物アレルギー疾患の増加も深刻化していることから、アレルギー体質の人にとって小麦を用いないパンの開発は、食生活のQOLの向上につながる。本年度は、各種雑穀粉の粉体特性を明らかにし、小麦の代替としてアマランサスを用い、製パン性について検討した。【方法】材料としてアマランサス粉、砂糖、塩、イースト、オリーブオイルを用いてパンを調製し、配合割合、発酵時間、焼成条件等について検討した。さらに品質改善のためにイヌリン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを添加した。製パン性としてパンの比容積、応力、水分含量を測定するとともに、官能評価により嗜好性を評価した。さらに経時的にX線回折を測定することにより澱粉の結晶性を調べ、保存性についても検討した。【結果】アマランサス粉はホワイトソルガム粉に比べ、カルシウム、鉄、食物繊維が多く、粒径が大きく、澱粉損傷度は小さかった。アマランサスパンの製パン性については、製パン可能な加水量の幅は70~95%であり、最適加水量は95%となった。そして発酵時間は一次発酵50分、二次発酵10分とし、焼成条件は200℃、30分に決定した。生地のみかけの粘性率を約10Pa・s以上にすれば製パンが可能であることが示された。また、イヌリンを添加して品質改善を試みたところ、アマランサスパンの問題点であるべたつきは改善されなかった。官能評価の結果から、アマランサスパンは市販の小麦パンと比べ、ややべたつきと苦みがあるがやわらかいパンであると評価された。保存性については、冷凍保存により結晶構造の回復を抑制できることが示された。以上の結果から、アマランサス粉を用いて三大アレルゲンを含まないパンを調製することができ、健康維持食品へ応用できる可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画(1)粉体特性の評価(日本女子大学 藤井)については、アマランサス、ホワイトソルガムの成分組成、粒度、澱粉損傷度を明らかにした。(2)製パンに適した粉の調製条件の検討(日本女子大学 藤井)については、アマランサスについて製パン性を明らかにした。(3)雑穀の栄養機能特性の評価(東北大学 藤井)に関しては、震災の影響で、十分な成果を得るには至っていないが、平成24年度に継続して行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度は単独の雑穀粉を用いて粉体特性および製パン性に適した粉の調製条件を明らかにした。 平成24年度は、これらの結果をふまえ、品種間を越えた雑穀粉をブレンドしたパンの製パン性および生地の特性、物性・品質の評価を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画通り執行予定である。消耗品として、原料費、ガラス器具、試薬を必要とする。また国際家政学会(オーストラリア)で成果を発表するため、海外出張旅費を必要とする。実験補助として人件費を必要とする。
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