研究課題/領域番号 |
23500939
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研究機関 | 東京聖栄大学 |
研究代表者 |
橋場 浩子 東京聖栄大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20208440)
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研究分担者 |
牛腸 ヒロミ 実践女子大学, 生活科学部, 教授 (80114916)
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キーワード | Diffusion / NaCl / Fish / Potato / Cooking |
研究概要 |
3種の魚肉(タイ、タラ、メバチマグロ)のすり身試料を0.513mol/kg NaCl溶液に98℃で浸漬し濃度プロファイルを測定した。これよりFickの拡散係数、Dを算出したが、いずれの試料でも D vs. Ct は極大を示した。この結果に二元収着理論を適用して4つのパラメータ、α、Sa、DT(p)、DT(L)を求めた。一方、3種の魚肉蛋白質中の荷電アミノ量を測定した。この荷電アミノ酸含量とSaおよびDT(L)との間には相関がみられた。水和した荷電アミノ酸領域が拡散に強く関与していることが示唆された。一方、僅かに上に凸の曲線を示す収着等温線を二元収着理論で解析し、2つのパラメータ、β、Kp'を得た。魚肉すり身中のNaClの拡散と収着も大根・凝固卵白・豚肉・ジャガイモと同様に、二元収着拡散理論により統一的に解釈することができた。 これらの結果をまとめて報文にする予定である。また、ジャガイモに関する報文がJournal of Food Research (Vol.2, No.1, 66-79,2013)に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度のじゃがいもの研究の成果は、第22回国際家政学会(メルボルン)にて発表し、またJournal of Food Research に掲載された。 魚肉すり身中のNaClの拡散についても現在報文を作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で、ジャガイモでは50~70℃でNaClの拡散係数に大きな変化が見られた1)2)。これは基質中で相転移が起こったためと考えられる。このように、基質中の変化が拡散係数に影響するということは、拡散の律速が液体水中ではなく水和基質中にあるということを証明することになる。そこで、DSCによるジャガイモの吸熱の結果から相転移温度を測定し、拡散係数の変化と相転移温度との間に関連がみられるかを考察する。また、ジャガイモ3種(グラウンドペチカ、シンシア、ハルカ)のペクチン含量と拡散のパラメータとの相関関係を調べる。これらの結果から、食材中のNaClの拡散のモデルを確立する。 さらに、呈味成分の大きく異なる試料を用いて官能評価を行う。味のしみ方とおいしさの観点から、定量的な呈味成分の分布と官能評価との関係を解析する。さらに、炭水化物性食品、タンパク質性食品についての二元収着拡散過程としての解析をまとめ、食材一般中の食塩の拡散過程を確立する。 平成25年度には、これまでの研究をまとめて報文他とする。そのために投稿料が必要である。 1)Liu H. (1992). International Journal of Food Science and Technology, 27, 443-455. 2)Hashiba et al. (2013). Journal of Food Research, Vol.2, No.1, 66-79.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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