研究概要 |
○対象野菜の選定:高齢者が好み和食材によく使われるが、咀嚼嚥下しにくい根菜類の人参とごぼうを候補とした。人参は(1)皮付き一本丸ごと(2)皮なし一本丸ごと(3)皮付き輪切り(4)皮なし輪切り、ごぼうは(1)皮付き輪切り、とした。予備実験段階で各種条件のソフトスチーム加工を行った結果、ごぼうは食味が優れなかったため対象から除外した。人参は普通に茹でた物より、おいしく食すことができた。 ○ソフトスチーム加工条件の設定:処理温度は86℃(通常処理)と95℃(加工上限)、処理時間は60分(通常処理の1.5倍), 90分,120分,180分,300分とし、温度と時間の組み合わせにより処理を行った。 ○物性検査の結果:上記1における(1)~(4)の人参を上記2の条件で加工し予備実験段階での物性検査の対象とした。試料品温20℃で測定した結果「皮付きと皮なし」及び「一本と輪切り」の測定値には、あまり差がみられなかった。処理温度や時間の違いも考慮し、本実験では、より色鮮やかで調理時の自由度も高い、86℃90分処理した(2)の人参を検査することとした。本実験に使用した人参は、新潟県胎内市で平成23年12月に収穫された西洋人参(長さ約14cm, 頭の直径約3.5cm, 重さ約135g)5本である。加工した人参は頭、中央の2部位に分けて各部位3回ずつ、そのままの状態と軽くつぶした状態で測定を行った。各検査において最大値と最小値を除いた平均値を測定値とした。そのままでの測定値は日本介護食品協議会のUDF区分1に入り、軽くつぶした時の測定値は厚生労働省の許可基準IIIに入った。 ○栄養分析の結果:86℃90分と120分処理の人参でビタミン、ミネラル類の含有量を比較すると、後者で若干少なかった。処理時間が短い方が栄養成分の損失が抑えられた。 以上の結果を鑑み「86℃90分処理皮なし一本丸ごと人参」を次年度以降に使う試料の条件に決定した。
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