研究課題/領域番号 |
23500944
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研究機関 | くらしき作陽大学 |
研究代表者 |
木村 万里子 くらしき作陽大学, 食文化学部, 准教授 (00351932)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | オリゴ糖 / 機能性食品 / 雑豆 |
研究概要 |
本研究では、アレルギー食材の範疇にはない雑豆由来の機能性糖鎖をグリコドラッグ開発のリード化合物として利用することを目的として、(1)雑豆糖タンパク質から調製した糖ペプチドと食材ポリマーからなるネオ糖ペプチドの合成と免疫活性検定、(2)雑豆に含まれる遊離型オリゴ糖鎖およびネオ糖ペプチドのプレバイオティクス効果検定、(3)雑豆糖タンパク質に結合するO-グリカンの構造特性解析を行う。 平成23年度は、雑豆由来の糖タンパク質をアクチナーゼ処理した後、Dowex 50 x 2 樹脂、Con A アフィニティークロマト、順相HPLC を組み合わせ、比較的均一性の高い糖鎖構造を有する糖ペプチドの大量調製を行った。ハイマンノース型糖鎖を多く含む小豆と大納言からはMan7~9GlcNAc2を、大福豆と紫花豆からは抗原性糖鎖(Man3Xyl1Fuc1GlcNAc2) を多く含む糖ペプチドを調製した。 得られたペプチド画分を用いて、免疫細胞の賦活化能をサイトカイン(IFN-γ,IL-4,IL-10)分泌を指標として測定した結果、ヒト単球を活性化することが示された。抗原性糖鎖含有糖ペプチドは、Th1型サイトカインであるIFN-γ産生を低濃度では促進し、高濃度では抑制することが分かった。一方で、Th2型サイトカインであるIL-4とIL-10産生は、低濃度では抑制し、高濃度では低濃度に比べて促進する結果となった。糖ペプチド画分に含まれるどのような構造の糖鎖が免疫活性に関与しているかについては、今年度中に明らかにすることはできなかったが、今後とも解析を進める予定である。 一方、小豆、エンドウ、白インゲン豆由来の遊離オリゴ糖の添加によりBifidobacteriumの増殖を有意に促進することが認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は、雑豆由来の糖タンパク質をアクチナーゼ処理した後、Dowex 50 x 2 樹脂、Con A アフィニティークロマト、順相HPLC を組み合わせ、比較的均一性の高い糖鎖構造を有する糖ペプチドの大量調製を行った。ハイマンノース型糖鎖を多く含む小豆と大納言からはMan7~9GlcNAc2を、大福豆と紫花豆からは抗原性糖鎖(Man3Xyl1Fuc1GlcNAc2) を多く含む糖ペプチドを調製した。 得られたペプチド画分を用いて、免疫細胞の賦活化能をサイトカイン(IFN-γ,IL-4,IL-10)分泌を指標として測定した結果、ヒト単球を活性化することが示された。抗原性糖鎖含有糖ペプチドは、Th1型サイトカインであるIFN-γ産生を低濃度では促進し、高濃度では抑制することが分かった。一方で、Th2型サイトカインであるIL-4とIL-10産生は、低濃度では抑制し、高濃度では低濃度に比べて促進する結果となった。糖ペプチド画分に含まれるどのような構造の糖鎖が免疫活性に関与しているかについては、今年度中に明らかにすることはできなかったが、今後とも解析を進める予定である。 一方、小豆、エンドウ、白インゲン豆由来の遊離オリゴ糖の添加によりBifidobacteriumの増殖を有意に促進することが認められた。 以上、当初の研究計画通り、雑豆糖タンパク質由来の糖ペプチド調製とその免疫活性検定、および雑豆に含まれる遊離型オリゴ糖のプレバイオティクス効果検定を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度は、雑豆由来の糖タンパク質のアクチナーゼ処理物から比較的均一性の高い糖鎖構造を有する糖ペプチドの大量調製を行った。また、植物抗原性糖鎖含有ペプチド画分を用いて、免疫細胞の賦活化能を解析したところ、予備実験的ではあるが、Th2型サイトカインであるIL-4とIL-10産生が低濃度の糖ペプチドで抑制され、高濃度では低濃度に比べて逆に促進する結果が得られた。 そこで平成24年度は、ポリグルタミン酸をキャリアーとした人工糖鎖ポリマーを作製し、ヒトT細胞の分化・生育およびT細胞のサイトカイン類(IL-4,INF-γ,TNF-α)産生に及ぼす薬理活性の検定を継続する。また、小豆、大納言から比較的構造の均一性が高いハイマンノース型糖ペプチドを調製し、それらをポリグルタミン酸にカップリングさせたハイマンノース型糖鎖を多価数含むネオ糖ペプチドを調製し、それを用いて抗原提示細胞の活性化能を検定する。 一方、雑豆糖鎖のプレバイオティクス効果については、遊離型オリゴ糖鎖(ヘミセルロース画分、ペクチン画分、遊離N-グリカン等)や人工糖鎖ポリマーの投与によって小腸内菌叢にどのような変化が起こるか、Bifidobacterium を用いての菌数変化を基にした解析を継続する。 更に、雑豆糖たんぱく質に結合する O-グリカンについての構造解析に着手する計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品費については、以下の試薬およびカラムの購入に充てる予定である。(1)糖鎖構造解析用試薬(抗原性糖鎖解析用の試薬購入に必要)、(2)抗原性糖ペプチド調製用試薬(抗原性糖ペプチド調製の試薬購入に必要,雑豆試料購入費を含む)、(3)ネオ糖タンパク質・ネオ糖脂質合成試薬(抗原性糖ペプチドあるいは糖鎖を用いたネオ糖ペプチド・糖脂質調製用試薬購入に必要)、(4)HPLC用カラム(糖鎖・糖ペプチド・糖鎖コンジュゲート精製に必要)、(5)細胞培養用試薬(サイトカイン分泌測定用の細胞培養の確立および維持に必要)、(6)サイトカイン測定キット(抗原性糖鎖・糖鎖コンジュゲートによる免疫細胞からのサイトカイン分泌測定に必要) 旅費については、毎年発表している国際糖質学会への参加費および航空運賃、ホテル代金に充てる予定である。
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