研究課題/領域番号 |
23500944
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研究機関 | 神戸女子大学 |
研究代表者 |
木村 万里子 神戸女子大学, 家政学部, 准教授 (00351932)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 雑豆 / オリゴ糖 / 高機能性 / 低利用資源 / 糖鎖 / 糖ペプチド |
研究実績の概要 |
本研究は,「雑豆由来オリゴ糖鎖の機能性開発と食品への応用」の観点から,食用種子に含まれるオリゴ糖鎖のプレバイオティクス機能,免疫賦活化機能,免疫抑制機能等を探索し,それら機能性糖鎖を食品開発に応用することを目的としている。 本年度は,高いビフィズス菌増殖活性を示した小豆と手亡(白インゲン)の水溶性オリゴ糖画分について,イオン交換クロマトとゲル濾過を組み合わせた手法で中性糖および酸性糖画分に分画した後,ビフィズス菌増殖活性の本体と考えられるオリゴ糖の構造解析をおこなった。 オリゴ糖の糖組成分析は,ABEE(4-アミノ安息香酸エチルエステル)ラベル法を用いて行った。その結果,美方大納言,手亡ともに中性糖画分には,アラビノースが最も多く含まれており,その他,ガラクトース,マンノース,グルコース,N-アセチルグルコサミンが多く含まれていることがわかった。酸性糖画分には,美方大納言,手亡ともにマンノースが最も多く含まれおり,次いでアラビノース,N-アセチルグルコサミン,ガラクトースの順に多く含まれていた。さらに,最も高いビフィズス菌増殖活性を示した手亡の酸性糖画分からは,キシロースとフコースが検出された。 以上の結果から,2種類の豆から調製した中性糖および酸性糖画分には,アラビナン,アラビノガラクタン,ガラクタン,ガラクトマンナン等の多糖類由来のオリゴ糖が含まれており,これらのオリゴ糖がビフィズス菌増殖活性に関わっている可能性があることがわかった。また,今回最も高い増殖活性を示した手亡由来の酸性糖画分には,植物種子中に遍在する植物複合型糖鎖を有する糖ペプチドの混在が認められ,これらが腸内細菌の増殖に関わっている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は,①雑豆糖タンパク質から調製した糖ペプチドと食材ポリマーからなるネオ糖ペプチドの合成と免疫活性検定,②雑豆に含まれる遊離型オリゴ糖鎖およびネオ糖ペプチドのプレバイオティクス効果の検定,③雑豆糖タンパク質に結合するO-グリカンの構造特性および機能性解析の3つのテーマから構成されている。 これまで報告した通り,①と②の研究についてはある程度の研究成果を得ることができた。③については,研究環境が整ってきたため,現在O-グリカンを含んでいると考えられる糖ペプチドを多量に調製しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
今後も,高いビフィズス菌増殖促進活性を有するオリゴ糖画分について,新たな糖組成分析法を模索しつつ,詳細な構造解析を進めていく予定である。さらに,雑豆に含まれる水溶性遊離型オリゴ糖のプレバイオティクス効果検定については,ビフィズス菌や乳酸菌の増殖倍率を指標として,オリゴ糖の種類による増殖効果の違いについて検討を進める。 雑豆由来Oーグリカンについては,すでに研究に着手しており,現在多量のO-グリカン含有ペプチドを調製しているところである。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成25年4月にくらしき作陽大学から神戸女子大学に異動した。当初、本研究課題を遂行するために必要な分析機器・器具・試薬類などが不足しており、研究環境を再構築するために多大な労力と時間が必要であった。平成26年度に学内の研究助成金を獲得したことにより、実験を行うための環境が整ってきたため、現在遅れた分の研究を可及的速やかに進めているところである。
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次年度使用額の使用計画 |
これまで実験室に不足していた分析機器・器具・試薬類をある程度調達することができたため、現在、遅れた分の研究を進めているところである。次年度における未使用額は、使用頻度の高い試薬や器具の購入と本研究課題を国際学会で発表するための参加費・旅費に充てる予定である。
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