研究課題/領域番号 |
23500947
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研究機関 | 飯田女子短期大学 |
研究代表者 |
友竹 浩之 飯田女子短期大学, その他部局等, 教授 (90300136)
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キーワード | 蚕サナギ / イナゴ / 消化性 / ラジカル補足活性 / 抗菌活性 |
研究概要 |
1 長野県出身者が大半を占める女子短期大学学生(18~20歳)のうち、蚕サナギの摂取経験があったのは6%であった。一方、同じ食用昆虫であるイナゴの摂取経験者は90%であった。 2 抽出した蚕サナギタンパク質を、SDS-PAGEで分析した結果、80kDa付近と32kDa付近に濃いバンドが見られた。一方、イナゴタンパク質は高分子領域及び45kDa付近にバンドが見られた。 3 インビトロ消化実験の結果、蚕サナギタンパク質は、ペプシンおよびパンクレアチンにより、経時的に加水分解されて、遊離のアミノ酸が増加することがわかった。この時のタンパク質分解の様子は、SDS-PAGEでも確認できた。また、蚕サナギタンパク質の消化性は、同時に比較したカゼインやイナゴタンパク質よりも高かった。 4 蚕サナギのリン酸緩衝液抽出物に強いラジカル捕捉活性がみられた。また、蚕サナギの抗酸化成分は、ポリフェノール以外の水溶性の物質である可能性が示唆された。 5 蚕サナギのメタノール抽出物に黄色ブドウ球菌に対する増殖阻害作用がみられた。蚕サナギの抗菌成分は、エーテルで抽出される脂溶性の物質である可能性が示唆された。 6 2型糖尿病マウスおよびラットの飼育条件を確立した。対照の飼料(カゼイン)を摂取したラットおよびマウスは1~2週間後に空腹時血糖値が上昇しはじめ、体脂肪の蓄積もみられた。また、血液中のコレステロールや中性脂肪濃度も上昇した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度のテーマである「蚕サナギの糖尿病予防効果の検討」に関して、糖尿病モデル動物の飼育条件を確立することができた。一方、実際の糖尿病予防効果については、飼料作製に必要な蚕サナギが確保できず、検討できなかった。 また、計画には示していなかったが、蚕サナギの消化性や抗酸化、抗菌活性を調べることができ、今後の研究に有用となる知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、引き続き、蚕サナギ乾燥粉末を大量に調製した後、動物実験を実施する。また、蚕サナギを加工食品へと応用するため、粉末や抽出物の食品への添加条件を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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