研究課題
脂肪酸は、様々な生体反応に関与する。Fatty acid binding protein(脂肪酸結合蛋白質、FABP)は、アラキドン酸やドコサヘキサエン酸(DHA)などの水に不溶な長鎖脂肪酸に結合し、可溶化することによって、細胞内の様々な機能に関わると考えられている。FABPは分子ファミリーを形成し、器官や細胞種により多様な発現を示す。本年度は、本申請のテーマに基づき、FABP3(心臓型FABP) 欠損マウスを用いた実験を行い、FABP3が母体から胎児への脂肪酸輸送のregulatorとして機能していることを見出した。また、FABP5とFABP7が、脳のオリゴデンドロサイト系列細胞の分化過程で時間的多様性をもって発現し、その分裂・成熟過程に深く関与することを示した。オリゴデンドロサイト(OC)はグリア細胞の一つで、神経軸索を包むミエリン(髄鞘)を形成することにより、神経伝導効率を高める。OCの異常は、神経変性疾患や精神疾患の病態に深く関与している。胎児期の脂肪酸摂取の減少が、OCを介して神経変性疾患や精神疾患を惹起する可能性が示された。脳血液関門については、主に培養脳血管内皮細胞を用いて検討した。脳血液関門は脳の微小血管にある内皮細胞によって構成され、これを通過する分子を選択することによって、中枢神経系の細胞を取り巻く環境を体の他の部位の環境と分ける働きを持っている。今回、冷却により脳血液関門が一時的に開くことを確かめるとともに、脳血液関門を構成する主要分子の一つであるclaudin-5が冷却によって機能の場である細胞膜から細胞質へ移行することを見出した。脂質環境と脳血液関門の関連については引き続き検討中である。
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