研究課題/領域番号 |
23500962
|
研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
稲山 貴代 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (50203211)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 栄養学 / 障がい / 身体活動レベル / 栄養計画 / 食生活支援 / 理論枠組み / 質問紙調査 |
研究概要 |
当初、平成23年、24年度で以下の2つの目的を計画した。1.在宅での自立した日常生活の活動量を検討し、身体活動レベルの評価を行う(以下、活動量評価)2.車椅子利用者の栄養・食生活の実態を把握・評価するため理論枠組みにもとづく質問紙調査を実施する。さらには有効なソーシャルサポートを明らかにする(以下、食生活評価)平成23年度では、2の目的に対する調査研究が進展した。在宅で生活する成人脊損者を母集団とし、(社)全国脊髄損傷者連合会の会員約2,700名を対象に、栄養・食生活に関する質問紙調査を実施した。調査の枠組みは、基本属性(性、年齢、婚姻、居住形態、調理頻度、障がいを負ってからの経過年数、損傷のレベルなど)、身体計測(自己申告による身長、体重)、QOL(主観的健康感)、食関連QOL(食生活満足度スコア)、健康状態、食物摂取状況(日常的な食物摂取頻度スコア)、食行動、中間要因(行動変容段階)、準備要因(知識・態度・スキル)、ソーシャルサポート、食環境(食物へのアクセス、情報へのアクセス)、社会環境とした。回収率約35%、最終的には999名のデータについて記述統計、QOLを目的変数とする多変量解析をすすめた。食生活に影響する要因は性、年齢階層であり、損傷部位・レベルの影響はみられないことを明らかにした。1の目的に対しては、食生活調査を1年前倒しで優先させたことから、本年度は、購入したポータブルガスモニターの精度の確認、予備測定を行った。また、この間、「上肢に装着した3軸加速度・3軸角速度センサによるトレッドミル上の車椅子走行時の活動量評価」について、日本臨床スポーツ医学会誌に論文投稿を行った(受理。現在最終査読中)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度実施予定であった質問紙調査を、調査協力依頼団体の厚意で、1年前倒しで実施できている。一方、この全国調査を優先させたため、当初23年度に予定していた日常生活行動をとりあげた活動量評価は、機器の精度確認と予備検討にとどまり、成果発表するまでに至っていない。脊髄損傷者を被検者とした測定もあわせて、平成24年度に実施する予定である。したがって、あわせて考えれば、おおむね順調に進展していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
食生活評価は、23年度で得た調査データのサブ解析をすすめる。具体的にはQOLの関連要因の抽出や食生活の要因間の関係についての検討をすすめる。また、結果の成果発表として、論文執筆だけでなく、社会還元としての調査協力団体への結果フィードバックをかねたリーフレットの作成を予定する。活動量評価は、当初の研究計画にもとづき、健常者を対象に、日常生活活動記録より代表的な行動をとりあげ、ポータブルガスモニターを用いて酸素消費量、二酸化炭素排出量を測定し、エネルギー消費量(kcal/日)および呼吸商を算出する。同時に、心拍計で心拍数の測定を行う。また、利き腕側の上腕部に装着する3軸加速度・3軸角速度センサーにて、加速度・角速度からみた活動量を評価する。本検討で測定の安全性を確認したのち、脊髄損傷者を被検者とした検討まですすめる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
23年度の研究成果として作成する調査結果のフィードバックもかねたリーフレットを作成する。そのための資料整理、印刷、(社)全国脊髄損傷者連合会会員への配布などに研究費使用を計画している。活動量評価では、測定場所として首都大学東京以外の場も予定していることから(独立行政法人国立健康・栄養研究所、国立障害者リハビリテーションセンター、早稲田大学など)、測定に関わる旅費、測定補助、さらには成果発表に研究費使用を予定している。
|